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映画「ミッシング」


この作品は、何度か映画館で「予告」をみていた。

「監督に直談判」「体当たり演技」ということを 石原さとみ本人が言えば言うほど、予告が流れれば流れるほど、なぜか萎えに萎えた。

(もちろん私の個人的な好みや性格に所以する話…)

石原さとみをキライではないが、結局映画館では観ることはなく、とはいえ「そんなに言うなら…」「吉田監督だし…」と 配信開始後 すぐにとびついた。



子どもが行方不明になり 右往左往する母親役の石原さとみを想像していたためか、(ヒドイ言い方にはなるが)すでにピークを過ぎた時期からを描いていたのが良かった。

愛する子どもを突然失ったとき、親はどうなってしまうのか、更にメディアに晒され誹謗中傷を受ける、想像を絶する苦しみであろう。

私は、息子が突然不登校になっただけで 随分と混乱し 不安定になった。声をあげて泣くことも、感情的に人にあたってしまうことも、無気力になってしまうことも、抑えられなかった。

子どもが元気に生きているにも関わらず、現実を受け入れるのにかなりの時間を要したのだ。


不安定でくたびれた姿の母親役は、たしかに人気若手女優の体当たり演技だったのかもしれない。


吉田恵輔監督の作品は ほぼ観ている。今回も、淡々と でも熱く描いてくれていて、自分自身のさまざまな感情や視点に触れられたような気がする。

現実が容赦なく過ぎていくことに胸がつまり、過ぎていくことで胸のつまりもとれていく。

脇もとても素晴らしかった。森優作、細川岳、カトウシンスケ、小野花梨、名前をあげていたらきりが無い。


が、どうしても石原さとみが 母沙織里のジャマをしてくる。(これも私個人の好みの問題か…)

監督にきいてみたい。

石原さとみの直談判がなければ、誰を起用したかったのかと。

個人的には石原さとみと同世代で思いつく女優はいなかった。かなり考えてみたがいなかった。
宮沢りえ、深津絵里、松たか子、あたりだとしたら、もっと余白を存分に味わえただろうか。そんなありもしないことを想像してみた。

出来上がった作品にケチをつけるつもりもないし、監督もこの質問に答えるはずもないのだが、これを書いている今も きいてみたくて仕方ない。


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