黄昏に思う事
黄昏は、思いふけるのに丁度良い。
暗いながらも、うっすら太陽の光が残っていて心が落ち着くものだ。
朝日はあまり、思いふける事は無い。
一日の長い時間が待っているのに、佇む暇ではないからだ。
ただでさえ落ち込みやすいのに、朝から落ち込んでいる暇はない。
朝日より夕日。
思えば個人的に【夕日】が好きなのもある。
強い光に目が弱いので、夕日の明るさはちょうどいい。
オレンジ色は、キャンドルの揺らぎの炎に似ていて落ち着く。
炎の揺らぎは「1/fゆらぎ」と呼ばれる波動の一つで、心臓の鼓動や打ち寄せる波の音と同じリズムを持つと教えてもらったことがある。
眠れない時に耳をふさいで心臓の鼓動音を聞くと眠くなるし、波の音やせせらぎはリラックス音楽でよく使われているのも良く分かる。
不規則な形態は終わりがなく永遠を思わせホッとする。
強い朝日から昼を経て夕日に変化する。
その空の在り様は人間の一生に例えられることもあり郷愁を誘う。
爽快な青い空に比べて夕日の空は、青に混ざり紫やオレンジ色、微かに赤色も混ざって濃密な人生の終わりを想像させる。
人生の色は十人十色。
同じ色は先ずありえないが、混ざり合った色の終わりは綺麗でありたい。
夏が終わり、秋になり、日が沈むのが早くなると夕日を見逃がす事もあるのだが、出来れば一日の終わりに夕日を見て「自分の事を考える」時間を作りたいと思っている。
忙しない日々は立ち止まる事が出来ない。
介護職に就いていた事もあり、人の一生とその思いについて個々の話を聞かせて頂く機会が多かった。
「後悔のない人生」
それがどういうものなのか、確固とした答えはないようだ。
自身の両親について思いを馳せる。
数十年前に母を見送り、二年前には在宅介護を終えて父を見送った。
奇しくも二人が晩年を過ごす時に傍にいたので、辛い思い出と共に言葉にできないような切ない姿も記憶にある。
落日。
人間は明朗な日々ばかりではない。
必ず「黄昏時」はやってくる。
ありし日の姿を知っているからこそ、その黄昏はいっそう脳裏に残るかもしれない。
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