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制作日記:番外編〈倒木の変化の記録〉

2023年までの絵と2024年現在の絵がだいぶ違う。

変化は良いが、戸惑う事も多い。
色彩で制作を再開してからの九ヶ月半。
1月から浮かばなくなっていた「倒木」や「木霊」・・「流木」も何となくイメージが出来つつある現在。
ペン画と水彩画を比較しながら、変化を記録する。


変化の考察


2020年制作「fallen tree-1-」

2017年の初個展「深い森」制作の〈木霊〉という作品から木々に自身の心を代弁させて描き始めたけれど「倒木」と題名にしたのは「fallen tree-1-」からだった。
台風により倒れた木々を林で見かけ、介護に疲弊し挫折に挫けそうになった自身の心境を描き表し落ち着かせるため一心に制作した事を思い出す。
今思うと「心の表現」ではなく「鎮静化」の為の制作の様な気もする。
「自分の声は誰にも届かない」
「このまま、心に貯めていてはどうにかなる」
そんな毎日を鎮める為にペンで紙に気持ちを閉じ込める。
大げさに言えば〈封印〉みたいに描いた作品も何点かある。

2022年「残響」
舞い落ちる葉は自身の声。
呼びかけても答えのない現実に喪失感を覚える。

2023年にこのようなイメージが全く浮かばなくなり、過去の作品を振り返り制作の為にイメージを振り絞ろうと苦心する。
同時に生活面でも体調不良や価値観への不安が募り、セッションをうけて色彩心理受講することを決める。

2023年の11月から12月
色彩で自身を振り返ってから〈モノトーン〉のイメージに〈色彩〉が着きだす。捨てる寸前だった油絵具や固形水彩を使い思いつくまま色での制作を再開。
詩画集「胡蝶の夢」で変化前と現在を振り返り一つの作品とす。
そこから浮かんでくることは〈後悔〉と〈孤独感〉
孤立した以前の孤独感ではなく、自身の声を聞くために「孤独」になって「感じる」という意識の変換が見える作品を思いつく。

「木霊-1-」
内側を見るような構図
「木霊0」ラフのようなもの
あまりイメージが固まっていない迷いがある
「木霊②」色合いが上手くいく
蝶の在り方を考える

「蝶」はメタモルフォーゼ〈変容〉や〈魂〉の象徴として描いているが、
「印象に頼り過ぎていないか?」など簡略化を考える。

「倒木 again」湧き上がる事を意識して色を付ける。

「湧き上がる」に意味がある。
2023年以前の「木霊」などの枝の表現も「湧き上がる」なのだが、自身の湧き上がる〈孤独感〉や〈焦燥感〉など不安や喪失感に近い意味合いだったように振り返る。
今年、2024年10月現在は、エッセイなど過去を現在の価値観で見つめ直し
〈昔抱えた感情否定せず受け入れて生きていく〉
内側の変化を「湧き上がる」として表現している。
不安や失望は価値観の視野を狭めるが、自身の「孤独感」を出来るだけ受け入れる。視野は広まったが未確認の気持ちもあるので、その感覚を水を含ませた絵の具の偶発的で自由なにじみや起動に出ていると思われる。

「倒木again」2枚目
色は意識して選び、ある程度の軌道を紙に水を含ませ作る。

自分の気持ちや届かず漂う言葉を〈封じる〉為に描いていた表現が、自身を振り返り「認める事」や「認められない事を認める事」で考えと気持ちを開放し〈放つ〉ような構図に変化を見せる。
自身の言葉〈封じる〉のではなく〈解放〉する。〈閉じ込める〉のではなく〈開け放つ〉
孤独感を抱え諦め朽ちるのではなく、今は「独り」の自分を「深く感じ」表現する事。
それが、現在進行形の「倒木」「木霊」「流木」の制作イメージだと思われる。

2024年10月14日(月)

独り
人の数が一であること。その人。
人数に重点を置く時は「一人」
状態や形態に重点を置く時は「独り」~一人と独りの違い~

詩画集「孤独の樹海」


最近の制作

久しぶりのパネルに水彩紙を張っての制作。
やり直しがきかないのでしっかりとイメージを固めて進めていく。

気持ちが溢れていくような〈生命力〉を頭に置いて筆をとる。
「自由」「自然」「解放」など意識
色が増えるごとに、絵の具の重なり合いで枝などに見えるような場所があり
見つけたら描く。不思議とその行動を繰り返すと「次の色」が何となく見える。
下書きには無かったが「木霊」=「言霊」という言葉が浮かび
イメージをそのまま描いてみた。
良い感じ。
窓辺に小さい机を置いての制作。
晴れた日は太陽光出掛けるので気分がいい。


二人を描く


「again」2019年〈個展:最果てファントム〉出展作品

再び巡り合ったのに、一人は消えて一人は残される。
「すれ違い」の物語を描いた「again」
とても気に入っている作品。
今の価値観で描いたらとF3のパネルで制作をしている。

再び巡り合ったらどんな言葉を掛けようか
残された月日は気が遠くなるほど長く寂しい。


再び出会えた今「何を語ろうか?」
言葉を交わすように、枝が重なり合うイメージで・・
〈語り合う〉そんな木々を描きたいと思っています。

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卯月螢 /心の風景を描く「心象画」
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