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【読書メモ】『ルーズヴェルト・ゲーム』(著:池井戸潤)

米大リーグで前人未到の「50本塁打、50盗塁(50-50)」の達成へあと3本塁打、2盗塁としているドジャースの大谷翔平は16日、アトランタでのブレーブス戦に「1番・指名打者」で出場。4打数無安打2打点、2三振1四球で打率は2割8分8厘。打点は108となり、1位アダメス(ブルワーズ)に1点差とした。「50-50」へはブレーブスとの4連戦で本塁打、盗塁がなく、4試合足踏み。

出典:「大谷、4打数無安打も2打点 トップに1点差 「50-50」へは4試合足踏み」
(『産経新聞』2024年9月17日)

MLBもプロ野球も終盤戦、大谷くん、プレシーズンに行けるとよいなぁ、なんて思いながらふと思い出したのが『ルーズヴェルト・ゲーム』との一冊。『半沢直樹シリーズ』の池井戸潤さんによる小説になります。

確か2014年頃、偶然立ち寄ったとある書店で開催されていた“半沢直樹の名刺”ととのフェア?にてゲット。題材になるのは社会人野球と会社経営。その背景にはリーマンショック前後の日本経済の不安が垣間見えるような。

それもあるのか、物語の大枠は「半沢直樹」と同様に、既得層からの理不尽な試練に対するリベンジとの“スカッ”とするカタルシスな流れとなっています。

軸になるのは、社会人野球として古豪でもある野球部員たちと、社歴が薄いながらも若くして抜擢された経営コンサル出身の社長。

野球部は主力を引き抜いた業界のライバル会社でもある野球部との対決、社長は同業の百戦錬磨な冷徹な先輩経営者たちとのシェアの奪い合い、それぞれに悩みを抱えながらも一つ一つ乗り越えていきます。

業績悪化に伴う会社運営のかじ取りに苦労している経営者と、そんな業績悪化な最中で成績を残せずに肩身が狭い野球部員たち。意外なほどの共通点も多く、フムフムと読み入ってしまいました。

それぞれを取り巻く環境は厳しくて、決してファンタジーな大団円ではないけれど、時代の変遷とその中でしたたかに生き残っていく、そんな人々の“生き様”が熱く語られていきます。

表面的な利益を追求するだけでは企業としては片手落ち、“社会的有用性”をどう見いだしていくのを忘れてはならない、20代のSE時代の頃に某N社(現P社)さんで叩き込まれた、そんな理念を思い出した一冊でした。


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