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【読書メモ】『淑やかな悪夢』(著:シンシア・アスキス他 / 訳:倉阪鬼一郎他)

「夏といえば」で連想されるものは数あれど、ひと時の涼をもたらす怪談話は外せない。その怪談話を代表するのが、ほかならぬ「お岩さん」だろう。彼女が登場する歌舞伎作品「東海道四谷怪談」は今年、初上演から200年目の節目を迎える。

出典:「「東海道四谷怪談」上演200年目 実在した〝良妻〟お岩さんの面影を訪ねて」
(『産経新聞』2024年7月4日)

定番ながら、夏といえば怪談話を想起してしまいますが、ちょっと変わったものとして『淑やかな悪夢』との一冊を思い出してみたり。英米の女性作家のホラー中短編を集めたアンソロジーとなります。

ちょっと古めの1900年前後頃に活躍された方々の作品となっているのでしょうか、シャーロック・ホームズの時代と重なっているのもひかれた理由のひとつです。全部で12編、女性ならではというと失礼かもしれませんが、精神的にゾワっと来る話が多かったように思えます、単純に怖いだけではなく。

「黄色い壁紙」に『ドグラ・マグラ』で感じた同質のネジレを感じたり、「故障」には”墓”に対する漠然とした恐怖は東西変わらないのかと感じたりしましたが、、一番インパクトを受けたのは「冷たい抱擁」の一編。

月光の下での”抱擁”では、そのシーンが鮮明に頭の中に浮かび上がりました、背筋の奥底への冷たい恐怖と共に。


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