新しく立ち上がった学部で約1年教えてみて感じたこと
京都精華大学メディア表現学部(https://www.kyoto-seika.ac.jp/edu/media/)が2021年4月にスタートし、もうすぐで1年が経とうとしています。授業の準備で毎週てんやわんやの日々が続いていましたが、1年経ってみて(まだ終わっていないですが)少し1年を振り返り自分が何を感じたのかをまとめてみました。
学生は面白いコンテンツよりも問題解決のコンテンツ作りに興味をもっている
タイトルに書いている通りなのですが、正直本心はどうなのか僕はまだわからないです。
昔は「僕は〜したい」「これが面白い」という切り口で考えてるのが楽しいのではといつも思っているのですが、面白いをベースに考えるのはどうも受けがよくないです。
逆が僕に親父ギャグ連発しているみたいで恥ずかしいです。ただ、学生が世の中に対して貢献したいという気持ちがあるのは本当だと思います。作品作りのテーマを設定するときも世の中の課題解決を念頭に入れるのは世の中の流れなのだなと感じました。
「作品づくりは課題ではない!」といいたい
今年はこのような質問をよく受けました。
「先生、課題はこれでいいですか?」
「これを出すといい点数をとれますか?」
僕は課題として出しているのは「みなさんがやりたい作品を作ってください」というものなので、これがいいかどうか?という基準は自分がやってみたいと思っているかどうかで判断してほしいなあというのが正直なところです。
良い点数が取れないことで今後のいろんなこと(例えば奨学金とか就職とか)に影響するのかもしれないですが、作品作りというのは課題でいい点をとるためではなく、自分が楽しめるかですよ!というのを早くわかってほしいと思っています。
まだ1年生でもあるし、今まで高校などで試験や課題をやってきたから仕方ないかなと思いつつも「先生これすごいでしょ?」「面白いでしょ?」という言葉を早く聞きたいです。
プログラミングはやりたいことではなく、やらないといけないことになっている
僕はプログラミングが面白くて始めた人間なのですが、生徒から「プログラミングは今後重要なスキルだからやりたい」という声をよく聞きます。もちろん意味はわかります。そして僕もそのような衝動で人生を選択していたことは否めないです。
ただ、「プログラミングは必要なスキルとか関係なしに本来楽しいものです。」というのは早く感じでほしいなと思っています。これは上記の作品作りは課題ではないというのと同じ問題です。
英語もやるべきこととして捉えられている
「プログラミングをやるべき」と「英語をやるべき」は本当に同義語として扱われているのがよくわかりました。特に京都精華大学というのは学長も日本初のアフリカ人ということで、グローバルというのがひとつの大きなキーワードなのですが、英語という存在は「必要だから」ということをよく耳にします。
僕にとってはプログラミングは楽しくて仕方ないもの、英語(+他の国の言語)は話したくて仕方ないものなので、やるべきものではないと思っています。
別に英語を使わなくても生きていけますし、勉強するものとして捉えらてしまうと課題と同意義のものとしてやらないといけないものになってしまっています。
プログラミングと同様に語学は勉強ではなく趣味と呼んでもらえるかが僕の挑戦かなと思っています。
Youtuberという職業はもう揺るがない不動の人気職業になっている
子供たちのなりたい職業としてYoutubeというのが上位に上がってきていて久しいですが、なんかもうそれは結構揺るがないものになっているんだなと感じました。学生の中でもものづくりや発信することに興味を持っている人が多いですが、基本は動画づくりになっています。
映像づくりの課題といえばYoutubeぽいものを作りますし、自分で頑張って何か作っている学生は多くがYoutubeで動画を作っています。
特に否定するわけでないのですが、Youtubeって気づいたらかなりのポジションを気づいているのだなと改めても思いました。(僕が気付くのが遅いというのもありますが、、。)
僕の娘は小学生ですが、息抜きはYoutubeを見ることですし、何をいう僕自身も少し仕事に疲れたらYoutubeを見るという行為を行っています。
もうFlashや面白いインタラクティブコンテンツを作ることではなく、世の中はYoutubeで何かを発信すること=クリエイティブになっているのかもしれません。
僕たちの大学生時代よりもシビアの物事を考えている
上記でいろいろとネガティブぽいことを書きましたが、僕の大学生時代と比べると正直もっとシビアに世の中考えていると思います。
僕のときはプライオリティ一番は「自分のやりたいこと」であって世の中がどうとかお金がどうとかはほとんど考えていなかったです。
そういう意味では今の学生は地に足がついているというか現実を考えつつ、1年生から将来を考えていきています。
僕はそれに対して「もっと柔軟に考えたほうがいい」ともいいたいですが、今の世の中の状況や自分たちの未来を考えるとそうも楽観的に考えられないのは事実だなと思っています。
といいつつも僕自身は面白いことやワクワクすることを考えるのが好きですし、「面白いことを考えるときが利害関係なしに一番楽しいよね」というのをわかってほしいとも思っています。
2年生になればプログラミングやウェブの知識を身につける機会もさらに多くなりますし、もう少し距離が縮まるので、そのときにまたいろんな助言ができるのかなと考えています。
とりあえず春になればまた約200名ほどの人が入学してくるので、頭がパンパンになりながらも新しい春を迎えることになりそうです。