第195回 戦国時代は関東から始まった

1、読書記録15

関東戦国全史~関東から始まった戦国150年戦争 (歴史新書y) / #読書メーター https://bookmeter.com/books/13020819

当初関東の戦国時代研究は、後北条氏が中心でしたが、次第に各地の大名、国衆の研究が蓄積されて

より豊かに叙述できるようになってきたという背景があります。

一方で、その成果を概括して通史的に眺めることのできる書籍がこれまではなかったことから、新書という限られた紙面で果敢に挑戦する、という試みだそうです。

2、戦国時代はいつから?

少し前までは、応仁の乱から戦国時代が始まったとされていましたが、

関東で起こった享徳の乱こそ戦国時代の幕開けだと言われるようになってきました。

ことの発端は室町幕府が京都を拠点としたこと。

鎌倉にも抑えとして一族を据え、関東公方として権力を分散することになりました。

初代鎌倉公方は二代将軍足利義詮の弟基氏。基氏は南北朝動乱の最中にあって、よく兄を支えていましたが、4代目の持氏の代になると関係は怪しくなります。

京都の将軍と鎌倉公方の対立は何代も続き、関東の武将たちも二手に分かれて争いを続けます。

実は応仁の乱もこの関東の騒乱に積極的に関与していこうという立場とそれに反発する立場が起こした政治的対立が原因の一つになったとも言われています。

これが享徳の乱が戦国時代の幕開けだと言われる所以です。

3、戦国時代ファンだからこその不満

本書でも享徳の乱から書き起こし、関ヶ原の戦後処理までの長い歴史を大きく四つの時代区分に分けています。

また、政治的に表舞台となったちいきだけでなく、ほかの地域にどのように影響が広がっていったのかも目配せされているのが特徴です。

いわば◯◯市史とか◯◯町史の関東広域版、といったところでしょうか。

逆にそこが欠点でもあり、事実の羅列に終始してしまっているきらいがあります。編者の山田邦明氏の総括が各部ごとに欲しかったところです。

また新書版という制約上しょうがないのでしょうが、もう少し図解が欲しかったところです。

合戦の説明でも地図や模式図は用意されていません。

本書を元に
『図解 関東戦国全史』
をカラー図版たっぷりで作ってもらえないでしょうか。

そして次は『東北戦国全史』ですね!

#関東戦国全史 #山田邦明 #鎌倉公方 #享徳の乱 #応仁の乱 #足利基氏


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