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マリオやゼルダがうつ病に効く!という話や研究に当事者が思うこと
こういう実験や話、ゼルダ、マリオ、テトリス、マイクラなどでよく行われていますね。
これらの研究について、実際のうつ病&広汎性発達障害&PTSD持ちかつゲーム大好きオタク、つまり当事者として、所感を書いてみようと思います。
※エビデンスに基づくお話ではありません。私はただの病人です。ご了承ください。
結論からいえば……一理ある、が恒久的には難しそうという考えです。
そもそも鬱状態って
まず、うつ病患者の大半は、簡単には動けません。動かないのではなく動けません。なのでゲームをやること自体が難しい、という日も多いです。あなた達にとって息をするようにやっていることは、鬱状態のときは困難になります。あと働けない場合はお金も少ないですし。
加えて新しい物事をはじめるのはとても怖く、または労力を使うことになります。今までゼルダやマイクラをやったことない人が挑む場合、普段以上の精神力か周りの助けが必要です。
たしかに任天堂のゲームは初めてゲームを触る人向けにも作られていますが、これは難易度の話ではなく気持ちの問題ですので。
まずその課題をクリアできる状況と状態になった場合のことと仮定します。
実際に認知や抑うつの改善を見込めるか?
たしかに冒頭に上げた4つのゲームが認知機能の改善や抑うつ傾向の改善に、一役買う可能性は大いにあります。
とても素晴らしい体験を与えてくれるものに違いはありません。単純明快で、かつ難易度が高くはなく、マイペースにやっていけるタイトルです。
他者を冒涜するような暴力、ハラスメントなど社会的負の側面も薄く、患者の精神に追い打ちをかけることは少ないでしょう。何より小さな達成を積み重ねることができ、小さな自己肯定を積むことができます。
それだけでなく、特にこれらのタイトルが持つ特有の点として……原初的な喜びが体験でき、正しい認知を幇助する可能性がある、これが本件の本質と捉えます。
簡単に言うと、病んでしまい認知が歪んでしまった人にとって、癒しになり得ると。
たしかに僕も人を殺めるようなRPGやシューティングをプレイするより、ティアキンをやっている方が気持ちが軽やか、爽やかでいられます(実際にはSTALKER 2でバコバコ撃ってますが)
認知療法とゲームの特性を結びつけてみる
認知行動療法という、負の方向に自動で考えてしまう癖を矯正していくものがあります。
認知行動療法的に考えるというのは……例えば友達にゾンビ映画の誘いを断られた、というとき歪んだ認知により「私は嫌われたんだ……」と思い込み沈んだとします。
そうではなく、まず映画を断られたという事象をそのまま受け止める。そして「一度のお断りで嫌われたと断定するのは早い……そういや友達はゾンビ映画苦手だったっけ……」など実質的な事柄を考えていく。ざっくり言えばそんな感じの療法です。詳しくはもっとちゃんとした記事を見て下さい。
ではマリオ、ゼルダ、マイクラ、テトリスの持つゲームの特性を認知療法と結びつけてみます。
マリオやゼルダは特にフィールドを自由に駆けて「あ、なにかあるかも……ほらやっぱりな!」「このアイテムでいけるんじゃね?……よし!やったぜ。」という子供から大人まで楽しい、発見のアソビが詰まっています。
これは物事の見たままを受け入れ、能動的に動く、という点において良い体験になります。
僕の場合は、マリオだけじゃなく多くの単純明快な3Dプラットフォーマーが好きで、原初的な楽しさが詰まっていることが多いので、鬱状態でもやりやすいし余計な負の考えが抜けやすいですね。
マインクラフト、今回は建築ではなくサバイバルについてフォーカスします。1つずつアイテムを得る→それで何を作れるか学んだり強化する→探索してアイテムを得る……という原初的な生活ルーチンを体験するアソビです。
ルーチンは精神や思考の安定において結構役に立ちます。マリオゼルダにも共通したことですが、敵と味方の区別、取得アイテムの区別もわかりやすくアイコン化されていますし見たままを受容しやすい。景観も豊かです。
こういった点から精神や認知に良い作用をもたらす可能性は充分あると言えます。(ただ僕にはマイクラはやれる事が多い上に情報も多いので、マリオゼルダと比べると腰が重いかな)
テトリスはご存知の通り、型をはめてラインを消していくゲームです。テトリミノを嵌めるための想像性、ミノを積む単純作業とラインを消す達成のルーチンがあります。
これらが負の自動思考を止め、良い想像をするのに一役買うこともありえます。あと単純に積んだものを一気に消すのは気持ちがいいです。テトリスエフェクトなんかは景観が綺麗でおすすめです。(ただ僕はテトリスはDS以降あんまし長くやれていません……)
しかし
これらはすべて"プレイしていた期間"得られるであろう効果の見込みです。
お話した4つのゲーム(または同じ特性を持つゲーム)は、痛みを柔らげ、患者の気力を養い、治療をしていく助けになるとは充分考えられます。
ですが、この効果を恒久的になものにするには、また違った工夫が要るのは事実です。
それにうつ病患者は、動けないことがデフォルト。何かを続けるというのは至難の業です。また、ゲームに限らずエンターテイメントには飽きや終わりがある、という弱点があります。
それにトラウマ由来のうつ病やPTSDは傷と向き合い癒やさねば、痛みのイタチごっこになってしまうものです。
ですからゲームで精神疾患の治療というのは、恒久的な目では、難しいと感じています。
まとめると……
一部のゲームは、ありのままを受け入れるという認知や想像の矯正、自身の思うままに動くという能動性の矯正に一役買ってくれる可能性はあります。
けどゲームを恒久的、根幹的な治療法とするには、まだ研究と時間がかかるでしょう。
結局のところ、精神治療で大事なのは充分に回復につくせる環境を用意し、気力を養うこと。医療機関やサポートを存分に使って、自分の痛みや傷を知って、適切なケアをしていくこと。
そうしていく中でゲームができたのならただ楽しんでいく。それがきっかけで正しい認知や思考が取り戻せたら、素敵なことですね。
僕もゲームやったり映画見たり音楽聞いたりしながら、投薬治療やカウンセリングを受け、臨床心理に基づく書籍を読んだり、実際に知恵を当てはめて行動していって、せめて好きなことはやれるよう1つずつ頑張っています。一緒に1つずつやっていきましょ。
世間様へ
ゲーム"だけ"で精神疾患を治せると思わないで!ゲームだったらできるでしょと思わないで!だったら俺はとっくの昔に治ってるんだよ。
とはいえどゲーム的ルーチンが、今後の抑うつ治療の未来に役立つのは……嬉しい!楽しみですね。
それにゲームが心や頭の安息になり得るのは事実だし、ゲームによってもたらされた感動は、かけがえのない体験になることは確かです。
というわけでみなさん
マリオオデッセイをやりませんか……今作はアクション苦手でもミスしまくっても大丈夫にできてるので……
僕の周りでゼルダやマイクラに比べたら、プレイヤーが少なくて泣いています。なんでですか。マリオなんて子どものゲームじゃんってことですか???認知を歪めやがって………侮るな……………………
僕とマリオデの最高演出シーンについて語ろうや……