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ふるさとが無くなる【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1616日をコミット中!
1519日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。






おはようございます。
山田ゆりです。





今回は
ふるさとが無くなる
をお伝えいたします。




「これ、どうしようっか?」
「う~ん。もったいないけど捨てよう」


旧宅の片づけはクライマックスを迎えている。

解体業者さんに催促され、とうとう、来週、解体が始まることになった。

私たちは引き出しの中やサイドボードの中の小物たちをひとつひとつ確認していた。そのほとんどはゴミになっている。


そもそも、3年以上、使っていないのだからそれらは全て「必要ではないもの」だと思う。

中身を一切確認せず、ガーっとゴミ袋に入れても不都合はないと思う。

しかし、優柔不断な私はそれができない。

また、燃やせるごみと燃やせないゴミの分別をしないといけないから
どうしても一つずつを確認することになる。



母の部屋にあったこの置物。
https://yamayuri58.com/tyoubo/wp-content/uploads/2023/07/20230625_151738-scaled.jpg


3羽のひよこと親鳥。
これは旅先で買ってきた母のお土産。


我が家は姉と弟の3姉弟だから母はこれを買ってきたのだろう。

私もこの置物が好きだ。
母鳥に口を近づけているのが姉。
そのそばに居るのが私。
私たちよりずっと遅れて後ろから必死についてきているのが弟。

3羽のそれぞれの位置関係が想像を掻き立てる。


母の手作りでもなく、有名な陶芸家のものでもない、どこにでもある安物の置物。

出来ればまだそばに置いておきたいが、そんな基準で選んでは、ものが少なく快適な今の新居がごみの山になってしまう。


心を鬼にして燃やせないゴミの袋に入れた。


あと数日で50年以上住んでいたあの家が他人によって取り壊される。


きっと、あっという間になくなるのだろうな。



遠方に住む二女はこの間まで、
「仕事の都合で帰れないから解体前の写真、いっぱい撮っておいて」と言っていたが、やはり、
他人の手であの家を取り壊される前にもう一度、自分の目で見て心に焼き付けたくなり急遽、解体に間に合うように帰省することになった。



写真は便利なものだ。
いつでもこうして見ることができる。

しかし、この置物ひとつをとってみても
写真と実際に自分の目で見るのとでは何かが違うと感じる。
それは何なのだろうか。

写真は視覚だけだが、実際に手に取った場合、
思ったより軽いと感じたり、表面はつるつるで底はザラザラしているのが分かる。

尖った場所が少し欠けているのに気づく。
くるりと回して後ろから見てみると感じ方が違う。
立体感が心に刺さってくる。




住み慣れた我が家を解体することは一生に一度あるかないかのことだ。
できればその日が来てほしくない。
戻れるところ、ふるさとが抹消されるような気がするから。



同じ思いを長女は最近味わっている。

年々少子化が進み、学校が統廃合されてきている。

長女の通った高校が近くの高校と統合され、
長女の母校は取り壊されることになった。


通勤途中にあるその学校。
毎朝、どっしりと構えた母校を見ながら長女は勤務先へ向かっていた。
しかし、今はもうその姿はない。


取り壊されると決定したことは知っていたが、いざ、それが実行された時、
長女はふるさとが無くなったようだととても悲しんでいた。


母校がなくなるなんて、少し前まで考えもしなかったことだが、
各地で年々、それは進んでいる。




ふるさとはやがて、物体としては残らずそれぞれの胸の中に納まるだけになるのだろうか。



今のうちに、この目で心に焼き付けたい。







今回は
ふるさとが無くなる
をお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



◆◆ アファメーション ◆◆
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私は愛されています
大きな愛で包まれています

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ご迷惑をおかけしても
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