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皆勤賞の意味とは?【音声と文章】
山田ゆり
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高校の卒業式は、飛びぬけて何かに秀でた人に賞を与える。
例えば国体に出場した人とか、全国的に有名な展覧会で絵や書道が入選した人とかだ。
のり子の所属する合唱団も2年生の時に全国大会で銀賞を受賞していたが、それは団体であり、卒業式の時はあくまで個人に対する賞だったから、合唱団は該当しなかった。
また、特別勉学に励んだ人には学校長賞が贈られていた。
そのように特別何かに秀でていなくてもいただける賞と言えば「皆勤賞」がある。
3年間、無遅刻無欠席の人に与える賞だ。これだったら何のとりえもない人でも受賞する可能性がある。
卒業式の時にその皆勤賞を受賞した人の名前が読み上げられ、その内代表として一人が壇上に上がり賞状をいただいた。他の方は卒業式が終わって教室に戻った時に先生から受け取ることになっていた。
皆勤賞の人の名前が読み上げられた。のり子はそれを他人事の様に聞き流していた。
のり子は毎月のように体調不良で保健室のベッドに寝ていて、授業を何度も欠席していたのり子にとって、皆勤賞は無縁のことだった。
皆勤賞受賞者の読み上げがのり子のクラスになった。
あぁ、あの人もこの人も皆勤賞か。
のり子は淡々とその名前の読み上げを聞いていた。
すると、のり子の名前も読み上げられた。
その瞬間、のり子たちのクラスからざわめきが起きた。
どうして?
あんなに授業中、保健室のベッドにいたのに、どうして皆勤賞なの?
クラスの人たちの気持ちはそうだったろう。一番驚いたのはのり子本人だった。
勿論、事前にそれが先生から知らされていたわけではなかったからなおさらだった。
のり子は部活を休みたくなかったからいくら体調が悪くても必ず学校に行っていた。そして保健室のベッドで放課後まで寝て身体を温存し、保健室から部室へ向かうことを何度もしていた。そんなのり子は皆勤賞の対象からは外れていたと思う。
しかし、担任の配慮で、授業を受けたということにしてくれていたのだろう。
学年で30番台で入学したのに1年生の終わりのテストではビリから2番目までに成績が落ちてしまったのり子は全く取り柄が無かった。
もしかして、せめて皆勤賞をあげようと学校側で思われたのかもしれない。
のり子は周りの目を気にしながら担任から皆勤賞の賞状を受け取った。
のり子は高校を卒業し、東京に本社があり地元にお店がある小売業に就職した。
のり子が就職する会社では入社式前に一週間くらいの合宿があった。
それに参加するためにのり子たちは寝台列車に乗った。
その研修合宿の往復の切符は会社が手配してくださった。
駅に行き寝台列車が止まるあたりのホームにのり子は立っていた。
同じ学校からはのり子を含め3人がいた。
ホームに並んでいたら5~6人の女性のグループがこちらに向かってきた。
その中に幼なじみのアツコがいた。
聞くとなんとのり子と同じ会社に入社したということだった。
つまり、あの入社試験のために乗った寝台列車であったアツコも、同じ試験を受けに行っていたのだった。
その会社は全国各地から採用をしていて、たまたま、のり子達とアツコ達の試験会場が違っていたから、お互い会場で会うことがなかったようだった。
のり子達はその学校の女子たちと同じ塊の席になった。
これから社会人としてスタートする。私たちは希望に溢れていた。
誰がどの売り場に配属になるかは、研修が終了し、入社式の時の辞令をいただくまでは分からなかった。
その研修所は千葉県松戸市にあった。
長くなりましたので、続きは次回にいたします。
※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1783日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。
どちらでも数分で楽しめます。#ad
~皆勤賞の意味とは?~
未来を知るためにネガティブな過去を洗い出す
※今回は、こちらのnoteの続きです。
↓
https://note.com/tukuda/n/n089127638cda?from=notice
例えば国体に出場した人とか、全国的に有名な展覧会で絵や書道が入選した人とかだ。
のり子の所属する合唱団も2年生の時に全国大会で銀賞を受賞していたが、それは団体であり、卒業式の時はあくまで個人に対する賞だったから、合唱団は該当しなかった。
また、特別勉学に励んだ人には学校長賞が贈られていた。
そのように特別何かに秀でていなくてもいただける賞と言えば「皆勤賞」がある。
3年間、無遅刻無欠席の人に与える賞だ。これだったら何のとりえもない人でも受賞する可能性がある。
卒業式の時にその皆勤賞を受賞した人の名前が読み上げられ、その内代表として一人が壇上に上がり賞状をいただいた。他の方は卒業式が終わって教室に戻った時に先生から受け取ることになっていた。
皆勤賞の人の名前が読み上げられた。のり子はそれを他人事の様に聞き流していた。
のり子は毎月のように体調不良で保健室のベッドに寝ていて、授業を何度も欠席していたのり子にとって、皆勤賞は無縁のことだった。
皆勤賞受賞者の読み上げがのり子のクラスになった。
あぁ、あの人もこの人も皆勤賞か。
のり子は淡々とその名前の読み上げを聞いていた。
すると、のり子の名前も読み上げられた。
その瞬間、のり子たちのクラスからざわめきが起きた。
どうして?
あんなに授業中、保健室のベッドにいたのに、どうして皆勤賞なの?
クラスの人たちの気持ちはそうだったろう。一番驚いたのはのり子本人だった。
勿論、事前にそれが先生から知らされていたわけではなかったからなおさらだった。
のり子は部活を休みたくなかったからいくら体調が悪くても必ず学校に行っていた。そして保健室のベッドで放課後まで寝て身体を温存し、保健室から部室へ向かうことを何度もしていた。そんなのり子は皆勤賞の対象からは外れていたと思う。
しかし、担任の配慮で、授業を受けたということにしてくれていたのだろう。
学年で30番台で入学したのに1年生の終わりのテストではビリから2番目までに成績が落ちてしまったのり子は全く取り柄が無かった。
もしかして、せめて皆勤賞をあげようと学校側で思われたのかもしれない。
のり子は周りの目を気にしながら担任から皆勤賞の賞状を受け取った。
のり子は高校を卒業し、東京に本社があり地元にお店がある小売業に就職した。
のり子が就職する会社では入社式前に一週間くらいの合宿があった。
それに参加するためにのり子たちは寝台列車に乗った。
その研修合宿の往復の切符は会社が手配してくださった。
駅に行き寝台列車が止まるあたりのホームにのり子は立っていた。
同じ学校からはのり子を含め3人がいた。
ホームに並んでいたら5~6人の女性のグループがこちらに向かってきた。
その中に幼なじみのアツコがいた。
聞くとなんとのり子と同じ会社に入社したということだった。
つまり、あの入社試験のために乗った寝台列車であったアツコも、同じ試験を受けに行っていたのだった。
その会社は全国各地から採用をしていて、たまたま、のり子達とアツコ達の試験会場が違っていたから、お互い会場で会うことがなかったようだった。
のり子達はその学校の女子たちと同じ塊の席になった。
これから社会人としてスタートする。私たちは希望に溢れていた。
誰がどの売り場に配属になるかは、研修が終了し、入社式の時の辞令をいただくまでは分からなかった。
その研修所は千葉県松戸市にあった。
長くなりましたので、続きは次回にいたします。
※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1783日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。
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未来を知るためにネガティブな過去を洗い出す
※今回は、こちらのnoteの続きです。
↓
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