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「あわゆき通信」創刊号鑑賞ノート

1月25日に創刊した、「さっぽろ俳句倶楽部」のネプリ「あわゆき通信」。おかげさまで、ここまで50名を超える方に出力していただいています。

まだ、しばらくコンビニ複合機でプリントできますので、よろしければご覧になってくださいね。A41枚白黒、20円でプリントできます。

予約番号などは、この記事の末尾に載せましたので、ご興味ある方はどうぞよろしくお願いします。

ネプリへ掲載句へのご鑑賞もいくつかいただいていますので、こちらもご参考にどうぞ♪


私からも、掲載作品(私以外の)について、1句鑑賞をしてみたいと思います。

懐に温めてゐる返り花   岩永靜代(「再生」より)

「再生」と題した今回の一連は、昨秋の「俳句コンテスト」で作品賞に輝いた「悴む臓器」のスピンオフとも言えそうな作品群と感じました。

「俳句コンテスト」についてはこちらもご参照ください。

自身の身体への想いや感覚を、主観に溺れることなく、一歩突き放した視点で見ることができるのが詠者の強みです。

とはいえ、冷徹な視線というのではありません。掲句のような「慈愛」を程よい温度で見せてくれるのが魅力でもあります。ここでの「返り花」は再生の象徴。それを「懐」に抱えて温めているというのです。返り花から命のエネルギーを貰うかのように、いや共に命のエネルギーの「交感」を行なうかのような行為に、読み手の私たちの懐にもじんわり温かさが宿ってくる句です。

ビッグカツ咥へて冬の蚊を払ふ  山田すずめ(「今も好きやねん」より)

読んだ方からの感想にも多数ありましたが、まずは「駄菓子」をモチーフに全句そろえたところがお手柄!

具体的な駄菓子の商品名を入れつつ、そのどれもがしっかり「俳句」十七音の中に馴染んで、独自のユーモア溢れる世界を提示しているのは、さすがベテランと唸りました。

中でも、掲句の「ビッグカツ」は秀逸。昭和からのロングセラー商品である「ビッグカツ」。揚げた衣を纏った見た目も、香ばしいソースの味も、トンカツそのものなのに、実は魚肉が原材料という「なんちゃって感」。

その「なんちゃって感」と「冬の蚊を払ふ」のしぐさの取り合わせが、なんとも言えない可笑しみを誘います。「咥へて」の仕草も、「ビッグカツ」だからこそハマる生き生きした措辞。

駄菓子なれど、小腹が減った時や晩酌のアテにもなる優れものでもある「ビッグカツ」。一見、侘しいようだけれど、詠者にとっては、この「ビッグカツ」を咥える瞬間は、何物にも代えがたい「至福の時」なのかもしれません。

今回、ネプリには宝福一哉さん書きおろしイラストが3点挿入されているのですが、この句群をイメージした「駄菓子屋」のイラストが特に好評です!私も大好き♪

というわけで、さまざまな個性・才能が終結した「あわゆき通信」創刊号、
よろしければご一読いただければ嬉しいです。



===俳句ネプリ「あわゆき通信」はこちらからプリントできます====

★ファミリーマート・ローソン・ポプラ

期間:1月25日~2月14日まで

予約番号:ZXBLZ3AKLH

★セブンイレブン

予約番号:20395776

期間:1月25日~2月7日まで

予約番号:51796158

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