「あわゆき通信」第3号鑑賞文~冬を味はふ
さっぽろ俳句倶楽部による俳句ネプリ「あわゆき通信」第3号をリリースしました。
各コンビニでプリントアウトしていただけます。プリントの仕方は、こちらの記事をご覧ください。
今回は昨秋開催の「第2回俳句コンテスト」の作品賞(天狼賞)、互選賞(南天賞)の受賞者さんの受賞第一作を掲載しています。
このコンテストは作品を読み、語るということも大切にしています。なので、選評賞(六花賞)というのもありまして。そちらの受賞者である國本昌秀さんより、このたびの「あわゆき通信」第3号より一句鑑賞をいただきましたので、あわせてお楽しみください。
読んでからプリントするか、プリントしてから読むか……(笑)ここから先が鑑賞文になります。
ちなみに、國本さんは「さっぽろ俳句倶楽部」の活動に参加するとともに、札幌の素敵なお写真と俳句をSNSにアップされたり、個展を開いたりしている方。今回のカバーと文章中の画像は國本さんのお写真よりお借りしました。
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あゆわき通信第3号で、冬の景を味わう楽しい機会をいただいた國本昌秀です。よろしくお願いいたします。
「着氷」 瀬戸優理子より
着氷を思う書き出しの一字
意を決して最初の一字を記すと、おぼろげだった着想が昇華する。氷の華が咲くように言葉が生まれ、道筋を伸ばしていく。ひとつ踏み出せば、できたも同然。書き出しの一字は着氷のように清冽なのだ。
「アイライン」 中野千秋より
滑舌のための寒紅濃く引いて
口紅は鏡を見ながら「うー」で塗り、「いー」で仕上がりを確認するという。口角の体操で声に張りが出るし、笑顔にもなる。しかも寒紅を濃く引けば、気持ちも引き締まる。僕はリップクリームで試してみよう。
「不在」 山田すずめより
待ち人を探すごとくに冬の鵙
待ち人を探すとき、自分はどんな目をしているだろう。楽しみなので、きらきらしているかもしれない。モズは肉食なのに、その目は優しく見える。広く深く静かだ。獲物を探し出すとき、ぎらぎらしていると殺気が伝わるからだろう。
「氷下魚干す」より 祐
行く年も来る年もなく鴨の黙
片脚で頭を翼に埋めて、じっとしているのはマガモ(真鴨)だと思う。川が氷らなくなった札幌でも、一年中見られるようになった。時はただひたすら「今」の連続にすぎない。去年今年に感慨を持てるとは、実に幸せなことなのだ。
國本昌秀 プロフィール
札幌在住。リタイアした2018年に俳句を始め、「さっぽろ俳句倶楽部」に参加。2022年に「フォト&俳句」展を開催。歩いて、撮って、詠む日常を「フォト俳句er」と名づけて戯れている。バードウオッチャー。
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