【詩】グロテスクな〇〇
こいつはかなりグロテスクなんだ。
昨日は刃物のように鋭く輝いていたのに
今日は泥水のように流れ出してあたりを汚す
不規則に暴れだすこともあれば
安らぎのメロディを奏でることもある
花の香りを漂わせることもあるし
口を開いて悪態をつくこともある
こんなデタラメなものをどうやって持ち歩くんだ?
盗ろうとするやつはいない、金にはならない
しかし、捨てる気にもなれない、俺はまだ若い
皆はどうやって飼い馴らしている?
困るのはそれを持ち歩く俺をみて、後ろ指を指して嗤うやつがいることだ
いや、それを見て、俺を敵だ!敵だ!と言い始めるやつさえいるだろう
そいつらもちゃんと見るのが怖いのさ。
だから俺は決めた。
捨てることも、堂々と持ち運ぶこともできないなら、もう喰っちまおう。血肉にしてしまおう。
そういえば、詐欺師か博愛家かどっちともつかないような奴が言っていた。
「味はかなりイケてますよ。もし喰うなら生の方がいいです。勇気を出して生で。」ってな。
俺の人生だから何を喰うのも俺の自由だ。
もうこいつのデタラメにも、人目を気にしてコソコソ持ち運ぶのにも疲れたんだ。
今日喰ってやる、あぁ本当さ。
アンタも持ってるだろ?
一緒に喰ってみないか?
野心ってやつなんだが…