フリーランスか?個人事業主か?株式会社設立か? 何を基準で決めればいい?
フリーランスの方からのご相談で多いのは、
「これから本格的にお仕事しようと思っているのだけれど、このままフリーランスでよいのか? 事業所届を出して個人事業主になるのか?それとも株式会社にしようか?迷っているけれど、何が基準だかわからない」
そうですよね、毎年確定申告の時期になると特に悩まれるのではないでしょうか?
よく言われるのが個人事業主の1年間の売り上げが1000万円を超えてきたら法人化した方が得だとかね。
税金だけのことを考えた場合は、税理士さんに相談するのもよいかもしれませんが、
私はちょっと別の視点で考えてみてもいいかなと思います。
一概に節税のためだけで結論出すのはどうかな?と思うのですよ。
あなたがご自分のスキルでお仕事されている場合と、何人かのスタッフや外注で成り立っている場合によっても違います。
ある相談者の例を挙げてみますね
その方は御自分の趣味が高じて作ったものが売れるようになり、小さなショップを自宅内に作りました。
時々忙しい時期だけパートさんを入れることもあるということです。
今後、もっといろんな商品を企画し販路を広げたいというのです。
これを機に株式会社にしようかどうか考えているとのことです。
この方の売り上げは年間やっと1000万円になったところだとか。
売り上げだけを考えると、微妙なところだとも考えられますね。
私はこの方は株式会社にした方が良いと言いました。
なぜなら第一に、今後の目標が新たな商品開発と販路拡大だと、明確になっているからです。
そうなれば、社内において一人以上の雇用も想定されます。
小さなお店内の販売だけにとどまらず、ビジネスのやり方が多岐にわたってくることが想像されます。仕入れ先や外注先も増えてくるでしょう。
ビジネスを大きく広げる場合は、資金も必要になってくるので、今後の事業計画を立てながらの資金調達は必須ではないでしょうか?
銀行からの借り入れや各種助成金、あるいは起業支援資金などの申し込みも可能になり調達の幅が広がります。
まず大事なのは、自分のビジネスの将来像が見えているかどうかです。
逆に、個人事業主のままで良いのは、自分のスキルだけで売り上げられている人。例えばアーティストやデザイナー、プログラマーなど。ただ一人でいくつかの異業種の仕事をされている場合はこの限りではないと思います。
その場合は別として、今後も、雇用は考えずに自分だけで自由にビジネスをやっていこうと思われている方は、あえて法人化する必要はないのではないでしょうか?個人事業でもフリーランスのままでもよいのではないかと。
そういうやりかたもアリだと思います。
もちろん、それぞれの方の仕事環境やライフスタイルにもよるので、断定することはできませんが。
ただその場合、頭に入れておいた方が良いコトがあります。
今までの社会では、フリーランスだと信頼度が低くみられるため、ローンなどが組みにくいということもありました。なので、事業所届だけは出しておいた方が何かと得策だと思います。
もちろんこれも人によっても違いますけどね。あくまでも一般論ですが。
よくフリーランスや個人事業主の方は、節税のために課税対象額を低く申告しがちですが、長い目でみるとそれは間違っていると思うのです。
税金を払って一人前とよく言われますよね。
フリーでお仕事されているならば、個人信用をあげていくためにも、それなりの税金は覚悟で申告された方が良いです。その方が、必要な時の資金調達や信用が得られやすくなります。税金も必要経費だというくらいな考え方が大事だと思いますよ。
最近では住宅賃貸契約においての信用調査でも、課税対象額があまりに低いと、通らないということも聞きます。
個人か?会社か?は、それぞれのメリットとデメリットがあります。
目先のお金(税金含む)だけの判断ではなく、これからの自分のお仕事を世の中に認めさせ、自分の信頼を得るためには何が大事なのかを考えること。そして、自分にとっての成功とは何か?幸せな暮らし方とは何か?
そのための働き方を考えると、自分にとってはこのままフリーランスでよいのか?個人事業主なのか?会社設立なのか?
今の自分にとっての答えは出てくると思います。
私は約30年、様々な働き方を経験しました。グループ会社数社を経営し、従業員80名くらいを抱えた経営者としての働き方。その中で見えたのは、企業は人なりということです。人が育てば企業は栄える。人が育たない企業は衰退するということです。経営者は自分の世界を築くために周りの人の力をいかに借りて生かすか、そういう能力を持っているかどうかということでした。それなりのやりがいと仕事に対する誇りがありました。
今は個人事業主として、自分だけで自分のやりたい仕事を楽しむことができています。自身の環境もそれが許されています。さてどちらが自分にとって心地よいのか?そう考えると、どちらも捨てがたく、どちらの働き方であっても自分は納得しています。どの時代にも自分だけの事情ではなく、自分が背負わねばならないものがあり、その環境や時代の背景の中で働いてきたのです。いやいや、まだまだ今も志半ばなのですけどね(笑)
どう働くかにおいては年齢も環境も関係なく、いやむしろそういうことを自分ならではの資源としてとらえ、自分だったらこう生きる! こういう働き方をする!って思うことがまず大事なんだと思います。