ご隠居さんはどこ行った?
今、東京都が65才以上のシニア層に向けてセカンドキャリア塾を始めています。授業料はなんと無料なのです。
東京都の「シニア就業応援プロジェクト」の一つで、シニアの学び直しと仲間作りを目的としているようです。基本講座48コマと選択20コマ以上の中から一定のコマ数を取得すると、卒業証書がもらえます。いまさら卒業証書がもらえてどうするの・・・って言ってしまえばそれまでですが、通い始めてみれば、最後までやりたい気持ちになるものです。30人位のクラスメイトがいて半年間通います。都内の大学で実施されているので、まるで40年前の学生に戻った気分で楽しんでいます。
東京都はなかなかよいことをやってくださってますよね。そこに集う方たちは、意識も高く学ぶことに対しても積極的な方たちです。多分・・・。年齢が65才になったということで、定年になったり現職から離れることになった方たちなのですが、気持ちも身体も元気な皆様です。
学べる場所があり、仲間がいるというのは嬉しいものです。高齢になったからと言って、今までのような趣味や地域だけで繋がるコミュニティではなく、仕事というものを意識した上で学べる場所というのは、今までなかったような気がします。
60代70代はまだまだ働ける人達は多いと思うのです。また年金だけでは暮らしていく事が難しい人たちだってたくさんいます。元気で役に立てるシニア層に勉強する機会を与えてくださり、働く意欲を持たせてもらうというのは素晴らしいことだと考えます。
ただ、高齢になるということには、様々な問題も出てくるのです。頭が固くなる、柔軟に物事を考えられなくなる、怒りっぽくなったり人を受け入れなくなったりするなど、若い人とは違った現象が現れるために、煙たがられることもあるでしょう。
歳をとると、そういうことがなぜおきるのか?という身体や精神的なメカニズムを学ぶところから始まるのですが、老いというものを冷静に見つめることで、気が付くことが多いものです。第三者から論理的に説明されることで、老いというものを冷静に受け止めることができます。年を取るとこんなものよ~といった投げやりな考えではなく、歳をとったことで、もどかしくなった様々な現象を、自分の中で整理し、思考や経験の断捨離をすることで受け止めやすくなります。そして断捨離をすることで、自分の自己分析しやすくなるのですね。自分自身がわかると、自分を扱いやすくなり、余計な感情で苦しむことがなくなります。手放すものやこともわかってきます。
こんな時に自分は怒りやすくなるのだとか、悲しくなったりする。あるいは逆に無意識に自然と楽しんでいることは何か?
私は自分の性格はある意味思考の習慣からつくられていれうような気がしているので、ここをしっかり自分の中で再度確認・認識することは大事なことなのだと思っています。
今日は、感情のコントロールというものを学びました。
怒りやすくなるというのは高齢者の特徴の一つかもしれませんが、それを悪としていけないことと排除するのではなく、上手に感情をコントロールする技術を学ぶことで、怒りの感情はエネルギーにも変わるのだということを学びました。感情を表現することはとても大事なことなのですよね。
一線から離れたシニアこそ、自分自身の自己分析・特性を改めて学ぶ必要があるような気がしています。
この後の学びは、今までの経験を生かして、そのように社会と関われるのか? 起業、生きがい・貢献、マネー等の学習をしていきます。
ここに集まる人達は、たぶん意識の高い人たちなのだと思います。現役時代には一生懸命生きて、活躍された方たちなのでしょう。それは最初の自己紹介などでも感じられました。
目的もそれぞれ違うと思うのですが、これからの社会と自分がどうかかわっていくのかを真剣に考えている人達です。
今まではこういう人達と出会い、共にこれからのビジネスを語り合える場所などありませんでした。
やはり時代は変わってきたのですね。
40年近く自分なりの社会・環境を作ってきた人が全くゼロから新しい社会に入るというのは、大学新卒の子供たちと変わらないくらいの気持ちです。それに新しい世界に入るというのは、とても億劫なことでもあるのです。それでも新たにチャレンジしようとするシニアたちは、新たなシニア時代を作る先駆けの人たちなのだと考えます。
定年や一線退いた高齢者たちがかって呼ばれていた「ご隠居さん」なんて言葉はもう既に死語になっているのでしょうね。だって近所に「ご隠居さん」はいませんもの。どこへ行ったことやらね。
私、こんなシニアになりた~い!