日記320:「宇佐美リトを見て筋トレしたいと思った」
そう思った。
これは昔、たぶん物心ついたときからとかその程度遡っても恐らくさほど間違いでもないくらいに昔からなのだが、自分はいわゆるパイオニアのような人間には確実になれないだろうという自覚があった。
パイオニア、みたいな概念は当然知らなかった。けれども確実に、おのれはなにかを先んじて始めたりなんらかの発見や発明を行えるような精神ではないことを確と自覚していた。
別に人に引っ張っていってもらえたい意識が強いわけではなかった。それはまあ、引っ張っていく側かもらう側かでいえば後者がよかったけれど、それでもあとからついていく人間というのはそれはそれで責任というか、適正というか、それなりの「重み」みたいなものが生じる。理想は誰かと横並びになってちょっとずつ進んでいくのがよかったのだ。
宇佐美リトのことはあんまり知らない。
デビュー当時にニワトリの鳴き声さながらの笑い方をする男だと脚光を浴びて(?)いたのを知ったのが初めだったと思う。けれどそれからといえばそれからもなく、それまでといえばそれまでで、というかそもそも私はヒーローを、MACHATU-Aを特に追っている人間ではなかったのである。今だって全体を追えては…追ってはいないし、まあ、その話はここでは別にいい。
だから宇佐美リトの印象はまずニワトリで、それから星導ショウと謎ASMRをやっているのを聴いて(なんだこいつ…!?)となり、キリンちゃん可愛いなあと思い、雷鳴が最近轟いているのは俺が戦ってるからなんだよね〜ごめんな〜的なツイートで(それいいな…)となり、それでも配信はほとんど見たことがなくて、それから先日のスクワットの際にパンツが破れた発言で、フム、となった。
私は基本的に、なんにしても初動に時間がかかる人間である。
時間もかかるし負担もかかるし不安にもなる。新たな本に手を付けるのだってちょっと大変なほどだ。だから新しくVを見始めるというのは、まずYouTubeアカウントをフォローするというのは、結構心理的負担がデカい。
最近思っていたのは、筋トレがしたいということだった。
この日記を見ている人であればわかるかもしれないが、私は筋トレをしたことがない人では決してない。脂肪も筋肉も人より多く有する人間で、あの筋肉が収縮する感覚とか時折生じる筋肉痛とかを愛する人間なのである。
続かないだけで。
そう、続かないのである。どうにも続かない、どうしても結果を早く出したいと急いてしまうのが理由である。続かないということはつまるところ、失敗するのと私の中では同義であって、同じ轍を踏みたがらない人間は足を踏み出すことを次第と避けていった。
これが面白い話なのであるが、ちょうど先日、宇佐美リトがデトロイトをプレイしていたことを知った。私はあのゲームがわりと好きで、やり込んだかどうかはさておくとして珍しく自分で購入してプレイしたりもした作品だった。
だから、宇佐美リトの配信が見たいとも思っていたし、筋トレを始めるきっかけもほしかったところだったのだ。
なんというか…面白いものだよな、と思う。興味深い。
星導ショウがプレイしていたからデトロイトを買い、ミラン・ケストレルのにじさんじフレグランスがきっかけで香水に興味を持ち、ましろくんのSCP配信で梨を知って彼の小説を手に取り始めた。
誇張表現ではなく、彼らがいなかったら私の人生はややつまらないものになっていたこと請け合いだと思うのだ。そんな感じでこれを書き終え、ヨガマットを出し、筋トレを始める。