日記342:「ちょっと春の部分」
ほんのちょっとね。
夏にも着ていれば秋にも着ている、なんなら冬にも着ているし、となると自然と春にも着ているオールマイティな上着がある。深いオリーブ色で薄手のわりに重さのある生地で、丈が長く、本来着るべきサイズよりふたつばかし大きめのそれである。
この数日で関東も随分と冷え込んできたもので、つい一昨日くらいもそのオリーブの上着を羽織っていた。しかし寒いなあと呻いていると、ふっと母がこちらを向き、「お前」と言った。
「それ、そろそろ寒くない?」などと訊いてくるので、いや寒いから