【手術】初めての局部麻酔とエンドレスティラピス
事故後、そのまま入院してから24時間が経った。
すぐに手術をする可能性があるとのことで、食事関係は事故後から一切なしで、水に関しても薬を飲むときに使った水くらいしか口にしていない。(点滴を受けてるから問題はないが)
初めての尿瓶イベントなど、色んな意味で眠れなかった夜を越え、日中は会社やら親やらへの連絡に明け暮れた。
しかしたまたまモバイルバッテリーを持っていたから良かったものの、まさかの病院の売店には充電器が売っていないということで、これには参った。
(めちゃくちゃ重要なアイテムだと思うのだが、置かないのか……)
そして本当にこういうときは家族の大事さが身にしみる。
また、今住んでいる場所で恋人や友人を作らなかったことも盛大に後悔している次第。
やはり人は一人では生きていけないようだ。入院とかでも。
例えば衣服に関してはめっちゃ高い日額制のレンタルシステムがこの病院にはあるが、その他の必要なものが病院内で揃うシステムにはなっていなかったりする。
先程の充電器然り、足りないものは外部から持ってきてもらう必要があるのだ。
Amazonと提携でもしてくれれば、病院に荷物を届けて受取りして解決しそうだが……まあ色々事情があるのだろう。
変な話だが、フラフラしてるニートの友達って社会福祉として重要な存在だったりするんじゃないかなんてことも思った。
いや思っただけで実際に重要な役割を果たすのかはわからないけど。
……でもなんとなく、自分がニートだった頃にもし友達がいたとして、その友人が急に入院して家族等に頼れない状況だったら、自分は世話しに行っていた気はするのだ。
普通に暇だし、人を助けたい気持ちはニートにもあるのだ。(機会がないだけで)
まあニートにも余裕のあるニートとそうじゃないニートがいるので、そう簡単な話じゃないとは思いつつ……。
それはともかく手術である。
24時間前に包帯でガチガチに固められた左足だが、中身はバキバキのまま何もしていない。
じゃあそのバキバキをどうにかするための手術をこれからするのかというと実はそういうわけでもなく、まずは内出血でパンパンになってきた足をなんとかするらしい。
その方法はというと、骨にピンを打って? そこへ金属を固定して……?
まあとにかく、次の手術に向けた手術とのことだ。
ともあれ素人にはなんのこっちゃなので医者に任せるしかない。
ベッドに乗せられて手術室へ向かう。
手術は局部麻酔で行われるそうなのだが、これもまた初めての体験だ。
局部麻酔の手術は全身麻酔とは違い、意識があるまま行われる。
まあ意識があろうと麻酔で感覚はなくなるはずなので特に問題はないだろうが、一体どんなことになるのやら。
手術室に到着しベッドから手術台に移ると、血圧やらをチェックしたあとにさっそく局部麻酔が始まった。
なんと局部麻酔は背骨の間に注射をするものらしい。
その際の体勢はというと、まるで胎児のように体を丸める感じ。
頭と膝をおなか側に寄せることで、背骨の隙間を広げるのだ。
しかし最近ちょうどnoteで骨髄ドナーをした人の記事を見て感銘を受けていたのだが、まさかこんな形で自分も背骨をいじられることになるとは……(骨髄移植じゃないけど)
医者の指が背中を触る感触が続く。
どうやらどこに刺すべきかを選定しているらしい。
医者「それじゃあ、刺しますよ~」
くるぞ……!!
チクッ
うーーん!
痛くないとは言えないが、耐えられない程ではない!!
思わず丸めた体を伸ばしそうになるものの、どうにか耐えて胎児モードを維持する。
チクッ
チクッ
チクッ
チクッ
いや結構な回数刺すねぇ!!?
……まあ考えてみれば虫歯のときだって何度も麻酔針を刺すのだ。
下半身すべてを麻痺させようというのだから、量も回数も増えるというもの。
耐えろ……!!
そしてどうにか注射は終わった。(10回くらい刺された気がする)
するとなんだか下半身がじんわり暖かくなってきた。
どうやらこれが麻酔が効いているということらしい。
足先から順に暖かくなっていき、最終的に太ももまで暖かく感じるようになった時点で麻酔が完了。
……いよいよ手術が始まる。
仰向けになり、眼の前にはタオルで目隠しがされた状態での手術。
なので今どんな手術をしているのかは自分には全くわからない。
そうそう、足の感覚についても語らねば。
今の自分は麻酔をしたことによって、「動け!」という自分が発した命令は見事にシャットアウトされている状態となっている。
そしてなんともいえないボーっとした痺れというかなんというか、そういうものが下半身を包みこんでいるのだ。
これが継続するとなったら、かなりの恐怖感を感じるのは否めない。
下半身不随ってずっとこんな感じなんだろうか……?
もしそうなんだとしたら、これは大変なことだなと実感する。
……それはそうと、5分くらいして自分の感覚がなんだかおかしいことに気づく。
わかりやすく言うと、自分は現在、ピラティスのテーブルトップポジションみたいな体勢になっている感覚があるのだ。
とはいえこんな姿勢を自分が5分も維持できるわけがない。
なので実際には自分の両足はしっかりと伸びているのだろう。
だが麻痺した自分の感覚では常に足を上げて90度を維持し続けているわけで、なんかその感覚だけで微妙に疲れる!!
これはつまり、麻酔が効いたときにしていた体勢のまま、感覚が固定されるということなんだろうか?
自分の場合は横向きで胎児のポーズを取る際に足を曲げていたわけだが、そのポーズで麻酔を効かせたため、仰向けになった今も足を曲げた感覚が反映されている……?
この興味深い現象にいくらかの面白みを感じなくもないが、この状態で数時間の手術に耐えるのはさすがにヤバい。
肉体的には全く辛くないはずなのだが、精神的な肉体の疲れというかなんというか……?(意味不明)
こりゃあ想像以上の辛い戦いになりそうだぜ……!
なりそうだぜ……
・・・
「ZZZZZZZZZzzzzz………」
爆睡である。
そう、思えばろくに睡眠がとれないまま24時間が経っていたのだ。
そして目隠しをされた上に何をされているか感覚のない下半身。
ピラティス状態によるキツさは感じつつも、手術はあまりにも暇すぎたのである。
そりゃ寝ちゃっても仕方ないというもので。
まあ医者としては、(局部麻酔なのになんで寝てんだこいつ…?)とか思ってたのかもしれないが。
そんなこんなで手術は無事に終わり、自分の足には金属のフレームが装着されていた。
……いやなにこれ!?
「骨を固定するために金属の板と棒が云々」という事前説明は聞いていたものの、今や自分の足にはミニサイズな工事現場の足場みたいなものが付いた状態になっているのだ。(骨と直接繋がっている)
「こ、こうなるかァ~~!」という驚きがありつつも、現代医療のワイルドさを垣間見た瞬間だった。
なお、足を動かす際は普通にこの足から出てるフレームを掴んだりする。
ワイルド。
そして手術後ベッドに戻ってもピラティス状態が自分の感覚上では維持されていたのだが……やはり実際に見たら自分の足はまっすぐになっていた。
曲がっている感覚があるのに、実際はまっすぐ……
人間の感覚というものは当てにならないんだなあ。
そんなわけで、今回の手術はあくまでも本番までの繋ぎなのだが、やはり未体験なことばかりだ。
これから何が起こるかにも期待したい。
入院生活は新しい発見に満ちている……!!