気づけば「方丈庵スタイル」だった夏が終わりました
いきなり秋になった感がすごい。
とうとう我が家も27℃を余裕で下回るようになり、つけっぱなしだった冷房の役目もようやく終わった。
ひたすらに長い夏だったな……(もう10月)
この夏は完全にエアコンのある部屋だけで生活していた。
田舎の賃貸なので他の部屋もあるのだが、もはやそれらは倉庫でしかない。
そして思う。
方丈庵みたいな生活だったな、と……。
方丈庵とは、日本三大随筆の『方丈記』を残した鴨長明が終の棲家にした、移動式ハウスである。
最古のミニマリストとして語られることもある鴨長明だが、家柄に恵まれつつも争いに破れ、最終的にこの方式に行き着いたという。
↓参考画像(まさかの再現模型)
方丈庵はおよそ3m四方、5畳半ほどの小さな庵だ。
室内の生活スペースは、「仏教」、「芸術」、「寝食」の3つのスペースに分かれている。(キッチンは外)
鴨長明は俗世間から離れ、なにかあれば家ごと移動して逃げて(荷車2台で運べる)、山の幸などを食べながら質素に生きたのだ。
そして最後の方にある、「たまに都にいくと、乞食のようになった自分が情けなくもなるが……家に帰れば俗世間の方を気の毒に思う」という一文がなんだか個人的に染みる。
そんな方丈庵と、この夏の自分の生活が重なった気がしたのだ。
自分の場合は、「PC」、「エアロバイク」、「寝食」だろうか。
思い立ったら数秒でそれらにアクセスできる状態って素晴らしいなと思う。
PC作業に行き詰まったらエアロバイクをこいで、お腹が空いたらささっと調理し、部屋でご飯を食べて寝る。
そう、まるで鴨長明と全く同じで……
・・・
(同じか……?)
なんだかあの世の鴨長明に「一緒にすんな」と呆れられている気がする。
そしてこれって、「ワンルームならみんなそんなものでは?」と今思った。
(もう600文字書いちゃったので書き直す気はないけど…)
必要な家のサイズって難しいなと思う。
自分は今まで6畳のワンルームや1Kばっかりだったので、せっかくなら違う世界を見ようと今の部屋の多い賃貸にしてみたのだが、現代日本では各部屋にエアコンが必須だということを失念していた。
エアコンがなければ、夏はその部屋がレンタル倉庫になってしまうとは。
それに無駄に部屋が多いと、マットやらカーテンを揃えるのも大変だ。
次に引っ越すとしたら、広い1Kとか、エアコンが各部屋についているかをチェックしようと心に刻んだのだった。
今更ながらに学びを得たよ……。
方丈庵といえば、
有名建築家の隈研吾氏が『800年後の方丈庵』を作っているらしい。
鴨長明の移動式ハウスを更に進化させたもので、ETFE製シートに木材を接着したものを部材にして、それらを強力磁石で組み合わせて出来ている。
写真を見るに、なかなか斬新な方丈庵だ。
なにせスケスケである。
いやしかし、これはあくまでもメディア向けな見栄えを優先したものであって、利便性を考えて塗装したら意外に実用性もあるかも……?
それにブロックのように自由に部材を組み合わせることで、『4倍方丈庵』とかにすれば、スペースも十分で良い感じになったりとか!?
なんだか妄想が捗る800年後の方丈庵。
800年前の鴨長明も、まさかこんな形で進化させられるとは思わなかっただろう。
自分が生きているうちに、世の住宅はどんな進化を遂げるのだろうか。
そして、自分の老後はどんな場所で余生を過ごすのか。
なんだか孤独な老人になってる可能性が極めて高いと個人的には思っているのだが、鴨長明という先人が孤独な人間の道を示してくれてはいる。
たとえそうなっても案外幸せに暮らせる可能性もあるんだぞと、
心の片隅にさりげなく刻んでおこう。