[SIer]ある大手SIerの話
ブラック企業の話です。
私は退職するまでに色々なSIerを利用させていただきました。商品を購入する事もありますし、構築などのサービスを利用する事もあります。
その中で、とても印象に残っているSIer(A社)の話をしたいと思います。
元々ですが、ある機械(サーバーとかではありません)を導入したかったのです。
その機械には、日本には数社の大きなメーカーがあり、その数社のメーカーを比較して購入するメーカーを決めました。
比較し仮選定をしたメーカーと打合せをしていると、こちらの要件で利用をするためには、システム開発が必要という事が分かりました。
また、大きな機械の他に、消耗品の小さな物品を大量に購入する必要がありました。
初めはその機械を購入するメーカーに話をしていました。
メーカーからは、協力会社として大手SIerを指定してきました。
また、大きな機械の販売とシステム開発はメーカーが行いますが、消耗品はSIerから直接購入をしてほしいとの事でした。
そのメーカーのIT子会社ではなく大手SIerです。
当時は知りませんでしたが、どうやら少しの資本関係があったみたいです。
このメーカーさんも少し変わっており、資料などの書類を私に送るときは、必ずバイク便で配達を利用していました。急ぐものでもないのに毎回バイク便を利用してくるので、切手代(配送コスト)はどうなっているんだろうと不思議に思いました。
この話は、システム開発ではなく、この消耗品の購入についての話になります。
消耗品の購入に、SIerの担当営業が付きました。
数種類の消耗品を大量に購入するのですが、1ついくらで、その個数を掛けて、合計いくらという見積もりをいただきました。合計金額を確認してその金額で了承して、社内の審査会にかける事にしました。
私も消耗品の購入のため、了承する前に細かい項目をしっかりチェックしなかったのもあるのですが、審査会の前に見積書の計算が間違っている事に気づきました。
個別項目を確認していくと、合計金額が数百万安くなっているのです。
ただし、見積書の約款などでも、合計金額が私たちに提示した正式の見積り額であるように思われます。
こんな大企業なのに、見積書の作成がシステム化されていないのかという驚きもありました。掛け算と足し算だけなのに、間違っているとは思いませんでした。本当の意味で、電卓をたたいているのでしょうか?
SIerの営業に電話をしました。
次の事を伝えました。「見積書をいただいた合計金額で社内調整をしている事」「確認したところ、合計金額が間違っているように思われる事」、「合計金額が正であるという認識であっているよねという事(一番大きく記載されていますし)」「金額が大きな取引なので、これは特別値引きをしてくれるってことですよね?という事」を伝えました。営業も電話を受けて、見積りを確認して合計金額が間違っている事に気づきました。
SIerの営業は、おどおどしていて「ちょっと待ってください」と言って電話を保留にせずに、席を外したようです。
ここからは、保留になっていない電話から聞こえた声です。
営業は、おそらく上長に見積書の金額を間違えて出した事を報告している様でした。
上長は、営業に次のような事を言っていました。怒鳴り声なのでよく聞こえました。
「今すぐ辞表を書いて会社を辞めろ」
「お客様と調整をして、正しい金額で契約をするように」
「正しい金額で契約するまでは、会社に帰ってくるな」
「正しい金額で契約をしたとしても、お前は辞表を書け」
「お前は辞めろ」
「いいから今すぐ辞表を書け」
「必ず辞表を書くと約束しろ」
営業は、力ない声で「はい」と言っていました。
ものすごい内容を聞いてしまいました。
ここのSIerはかなりの大手で、日本を代表するSIerだと思います。年収も高く人気のあるSIerだと認識しています。
ものすごい体育会系なんだなと分かりました。それに社内のパワハラがひどい。こんなにひどい会社があるなんてと思いました。
(個人的には数百万の間違いでここまで怒るのかと、すごく驚きました。)
私は、色々な経験をしてきましたが、こんなひどいパワハラは受けた事がありませんし、見た事もありませんでした。
他のSIerも外に対しては良いように見えても、内部はこのようなパワハラ地獄なのでしょうか?
電話で聞いていて、正直こちらの気分が悪くなりました。
営業が電話口に戻りました。
「金額を間違えていて申し訳ない。修正した見積もりを作成するので、受け取って欲しい」との事でした。また、「お会いしてお詫びを言いたい」との事でした。
私は、「修正した見積りはまずはメールで私に送付していただいて、本紙はいつでも良いので、郵送してくれればよい」事を伝えました。また、「会いに来る必要はない」事を伝えました。
「社内調整をできるかどうかわからないけれど、出し直していただいた金額で調整をするだけしてみる」という事を伝えました。
私個人としては、全体額から見たら、今回の数百万はそれほどのダメージが無いので、まぁ安くなればいいけれど、無理なら仕方ないか程度に思っていました。(元々予算は大きくとっており、予算の範囲内ですし。)
ただし、購入する金額が変わったので、社内手続きの途中とは言え、社内の調整をしなくてはいけません。それが一番というか、かなり面倒です。
関係する人にもこんな事があって、電話でこんな事を言っていたとの事を話をしましたが、「値段を修正するために、わざと電話を保留にせずに、演技を見せたんじゃないの?」とか色々な意見を言われましたが、あれは完全なパワハラです。
社内調整は非常に面倒でしたが、修正された金額で再度資料を作成して、事前調整をしました。その日の帰宅はかなり遅い時間になりました。
会社を出ると、来なくていいと言っていたのに、ビルの外にSIerの営業が立って待っていました。
かなり遅い時間だったのですが、この人は何時間ここで立って待っていたのでしょうか?それに、ビルの違う出口から私が出ていたら、会えなかったと思うのですが。
修正した見積もりを渡され、謝られました。
私は、来なくてよいと言ったのに、待っていたことに対して、不満を伝えました。「待っている時間がもったいない。待っている時間があるなら、その工数分を値下げしてほしい。」という事を伝えました。
まぁ、保留されてなかったので聞こえましたが、電話先でのやり取りは本来私は知らないはずですしね。
この後、修正した高い金額で審査会を受け、稟議を通し、発注をしました。
発注後その営業さんとは、やり取りをしていません。
メーカーが窓口ですしね。
その営業さんが、本当に会社を辞めさせられたのかどうかは分かりません。
ですが、世の中にはとんでもないSIerがいる事を知りました。
とんでもないパワハラ体質の企業です。
私はそのSIerの企業グループに、その後、継続するもの以外の新規の発注をしたいと思いませんでした。二度と関わり合いたくないと思いました。
業界でも評判の高い大手のSIerです。
私も、この件があるまでは良い企業なのだろうと思っていましたが、大きく違いました。絶対に働いてはいけない企業です。
さてどこなんでしょうね?
この件を体験して、パワハラは本当に怖いなと思いました。
上司は部下の責任を負う為にいて、部下に責任を押し付ける為にいるのではないと私は思っています。部下の手柄は部下の手柄で、部下の失態は上司の失態です。部下を守るために上司はいるのだと思っています。
部下が見積りを間違えたのであれば、本来チェックをすべき上司のチェックが間違っていたわけなので、上司の責任であるべきです。
ただ、そんな考えで仕事をしていたら、私はうつ病になったので、何が正しいのかは分かりません。
パワハラなんて無くなればよいのに。