[SIer]横文字のよくわからない職種は嫌いです

私は一般的にSIerと呼ばれるITシステムに関する会社に勤めていました。
会社の規模はそこまでも大きく無く、大手SIerの子会社です。
子会社といっても親会社との仕事のつながりはほとんどありませんでした。

しかし時々親会社から役員が天下ってきます。基本社長は親会社出身の人です。大体数年間職について親会社に戻っていきます。取締役など業務にかかわらない本当の役員はほぼ外部取締役で構成されており、親会社の人ですべて占められています。しかし、執行役員はみんな親会社出身かというとそうではなく、半数以上がプロパーです(親会社ではなく、私の働いていた会社採用の人)。プロパーでも、上級執行役員の役職まで出世する人もいます。
社長が交代する時に、新社長は親会社で自分の信頼のできる部下を私の働く会社に連れてくる(天下りをさせる)事があります。親会社から天下ってくる人は、ものすごく仕事ができる人か、無駄に役職が高いがまったく仕事が出来ないダメな人のどちらかです。私が知る限りその中間はありません。ものすごく両極端です。

ある時期に親会社から、親会社の取締り経験もある上級執行役員が天下ってきました。親会社のCTOの職に就いていた人です。私の働いていた会社でも上級執行役員でかつCTOの役職に就きました。おそらく能力があるから新社長が連れてきたと思うのですが、外から見たら子会社に異動なので降格ですね。このCTOをAさんとします。(Aさんは親会社復帰後も高い地位だったので、降格ではなく一時的な引抜だと思います)

Aさんは、社内の優秀な技術者や若手で見込みのある優秀な人を集めて、部門を立ち上げました。新規技術の取入れや、社内システム基盤の刷新、アプリケーション開発において新技術で共通化などをおこなう部門です。研究部門のようなものでしょうか。
ITアーキテクトと名乗る人が沢山生まれました。
IT企業は横文字のよくわからない職種なのか役職なのかが好きですね。他にもよくわからない横書きの職種の人がいました。私はよくわからない横書きの職種は嫌いです。会社の役職名がそうなっているのであれば仕方がありませんが、外資系以外でよくわからない横文字を名乗っている人は、大体胡散臭い人が多いです。

Aさんたちは、新規のインフラ導入や技術を導入する時は、"会社をいくつか集めてコンペを行う事"などせずに、この技術でこの会社から購入すると決めて導入をしているようでした。金額も決まっています。私達から見たら癒着ですね。おいしい物でも食べさせてもらっているのでしょうか。もしくは旅行にでも連れて行ってもらっているのでしょうか。

Aさんたちが導入したメールシステムの一部が障害をおこした事があります。社内の内部間のメールは正常に送受信でき、社外にメールを送る事はできます。しかし社外からのメールを受信する事ができません。障害は半日以上続きました。
Aさんの組織の人達が中心となって障害対応にあたり、原因を特定して対応に当たりました。
この時のAさんの判断がやばい。
通常このような事がおきたら、障害対応の中で、障害期間中の滞留していた外部からメールを利用者に遅れながらも送信をします。当たり前のことですね。何万通と溜まっていても通常は障害復旧したら、報知の上でこのような対応(滞留したメールを利用者に流す作業)をします。
Aさんは、障害対応をしているチームに、滞留しているメールの削除を指示しました。障害期間中に外部から来たメールはすべて消去されます。仕事の大切なお客様からのメールも消去されます。その話を聞いた時は信じられませんでした。
障害対応しているチームは、滞留していたメールを流す準備をしていたのですが、Aさんから指示があったので準備を中止して、指示通り滞留していたメールはすべて削除しました。障害している箇所も対応が終わっているので、外部からのメールは元通り受信できるようになりました。
Aさんは、障害が起きていた事、そこで滞留していたメールを削除した事を公表しませんでした。障害とありえない障害対応内容を闇に葬り去りました。私は障害対応しているチームに知人がいたので、障害対応中の状況をリアルタイムで知っていますが、この話は本当に一部の人(数名)しか知りません。本当に障害自体を無かった事にしました。
一部の人にはAさんはやばい。という事が認知されました。さすが親会社のCTOですね。私の信用できない人・嫌いな人リストに登録しました。

私レベルの頭や階級からはAさんの偉大さは理解できませんでした。口がうまいだけで、何もできないおじさんにしか思えませんでした。

さてそれから、私が所属していた部門にもITアーキテクトを名乗る人が配属されました。
このITアーキテクトを名乗る人(Bさん)は、基本的に部門を通さず、会社の上位層やAさんを使って、新しいインフラなどの導入を直談判します。"機器や技術を決めたとしても、購入会社ぐらいRFPを出して比較しようよ。"と思うのですが、すべて決められています。また、部門の予算の事なんてもお構いなしです。まぁ私も今まで好き勝手仕事をやってきて、上位層に直談判などしてきたので、文句は言えませんが。。。
Bさんは役員層からはものすごく慕われていましたが、現場からは嫌われていました。私が嫌われていたのとは違う方向性ですが、再度になりますが現場からはものすごく嫌われていました。
Bさんは色々なベンダーとは仲良しで、よく食事や旅行などに連れて行ってもらっている様でした。

このBさんの導入した製品については、大体というか100%ほどの確立でトラブルが起きます。そして100%の確率でBさんは逃げます。たとえ障害が起きても障害対応や支援などしませんし、運用上の問題が起きても我関せずです。「引継ぎをしたので知りません」が毎回の口癖です。いや、引継ぎされていないから・・・。購入する機器を決めて、購入をしたら、はいお終いです。自社だけならまだいいのですが、お客様に提案してお客様の環境に機器を導入をして、そのままトラブルになった事もあります。機器メーカの海外本社の技術部門と日本現地法人と電話会議などをしましたが、解決に至りませんでした。もちろんBさんは逃げました。この逃げ方は素晴らしいものがあります。

Bさんはその後部門を異動していきました。最終的には退職をして取引のあった外資系ベンダーに転職しました。

Bさんが導入したシステムの一つにストレージがありました。それをファイルサーバして利用する事になりました。当時はクラウドなどなくて、画期的な機能をもった機器だったのですが、通常利用しようとするとエンドユーザの利用者の表示画面に不具合がでて使えるものではありませんでした。また、導入コストや維持コストも高く、機能とコストのバランスが取れていません。

私はその時、好き勝手に動ける状態だったので、お客様に再度ファイルサーバに要求する事をヒアリングし直しました。そして、既存のBさんの導入した機器は不適用と判断をしました。
枯れた技術の水平思考と言いますか、古い昔からの方法で、ちょっとあまり考えられない方法で新しい基盤構成を組みました。それをサービスとしてお客様に提供をしました。
コストは激安になりました。お客様の問題も解決しました。お安く提供をしたので、お客様のサービス利用料もとてつもなく下がりました。(逆に言うと、売り上げが下がりました)
また、従来のBさんの導入したシステムよりレスポンスが良くなりました。
お客様は大満足してくれました。
すでに購入して投資をしてしまっていますので、Bさんが導入した余った機器は、別用途で利用をする事にしました。

わたしは、サービスデスクへの問い合わせ記録から、潜在需要がありこのサービスの提供コストを下げると、お客様の需要はめちゃくちゃ伸びる事を確信していました。この修正したサービス、その後このお客様に大ヒットしました。利用量はBさんが構築していた時よりも数十倍まで膨れ上がりました。
昔ながらの方法で基盤構成をとっているので、特別な事はほとんどなくて、システム運用も容易です。

ITアーキテクトさん、仕事は最後まで責任をもって仕事をしましょうよ。新しい技術を入れるのはいいのですが、本来の目的を忘れていませんか?技術を導入する事が目的になっていませんか?

私は、横文字のよくわからない職種か役職の人は嫌いです。また信用できません。



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