[SIer]お客様からの差入れ
私は、あるお客様の建屋に常駐して仕事をしている時期がありました。
対応していたシステムが、色々なシステムと連携しており、IT部門だけではなく、沢山の部門に利用者がいました。その為、お客様の色々な部門の業務担当者とは、密に連携をしていました。
その中でも、海外を担当している部門の担当者からは、よく時差の事を考えて対応をしてほしいと言われたものです。「あなたが休んでいるときに現地は稼働しているし、あなたが出社後にすぐにユーザー対応しても、時差があるので相手にとっては、とてつもなく待たせている」という事をよく言われました。
そのかたは、グローバルで利用しているシステムの業務担当窓口でした。海外からの色々なところ(北米、南米、アジア、ヨーロッパなど本当にグローバルです)から問い合わせをもらい、対応をされていました。
ただ、IT部門からはあまり好かれていない様に思えました。その方はある業務において、海外のエンドユーザーの窓口にもなっていたので、IT部門の対応について、要望が結構あるのです。
そのかたは、年齢不詳のお姉さんです。たぶん私より二回りほど上なのではないのでしょうか?でも若く見えます。二回りほど上じゃないか本人に尋ねたら、本気で怒られました。女性に年齢を訪ねるなんて失礼ですよね。最後まで年齢は分かりませんでした。
この方、とても気品がありました。しゃべり方が丁寧です。丁寧というか、身分が違うと感じるような言葉遣いです。所作もきれいですし、また姿勢がものすごくよいです。いつもスカーフを首に巻いていて、姿にも気品がありました。
相手への心遣いとか、ちょっとしたプレゼントを毎回準備しているとか、本当に上流階級の人ってこんな感じなんだろうなと私は感じていました。一言で言うと"セレブ"です。
色々と関わる事があって、わかった事は、お姉さんはペンタリンガルです。色々な言葉を理解してやり取りをしています。正直化け物かと思いました。
英語はもちろん、スペイン語は仕事でよく利用しているようでした。
イタリアに旅行に行ったら、財布を盗まれたという話を聞きました。「警察に行った」と言っていたので、「英語通じたの?」と聞いたら、「いやイタリア語で・・・」と聞いて少し引きました。
ロシア人が経営するロシア料理店でお姉さんを含めて数名で飲み会をした時があり、お店がショーの一環でロシア語の歌を披露していたのですが、お姉さんは一人顔を赤くしていて、尋ねてみると卑猥な歌だったそうです。"ロシア語わかるんかい"と思いました。
お姉さんはいつの間にか、役員秘書になっていました。いや、グローバルな業務の担当は相変わらず継続していたので、役員秘書と兼任して実業務の仕事をしていました。
あの所作だと秘書になっても何ら違和感はありません。再度になりますが、ものすごく気品があります。
このお姉さんは、お客様の中でも謎多き人でした。結婚しているのだろうけど、変わった苗字をしている事からも、旦那さんは外国人ではないのか?とか外務省で働いているとか、外交官であるなど色々な噂がありました。
私が、仕事をしていると、よくお菓子を差入れにもってきてくれました。「**さんお客さんだよと」と呼ばれていくと、お姉さんがお菓子を持ってよく来ていました。このお菓子、コンビニで売っている様な物ではなく、お菓子屋が作っている様なお菓子で、小さい袋にラッピングされています。夏には、アイスを差し入れてもらいました。周りからは、あの人誰?という感じや、一部の人は厄介なあの人とそんな仲なの?という感じで見られました。せっかくもらったので、周りが仕事をしている中アイスを食べるという何とも言えない状況になりました。
まったく別のあるシステムトラブルなどが発生している時、エレベーターでお姉さんにばったりあったのですが、お姉さんの相手をしている事ができませんでした。その後は何度も「**さんにエレベーターで無視された」と言われたものです。
よく、お姉さんに私の職場にも顔を出してよと言われていましたが、外部の人間である私が、お客様の建屋で、私の通常いる場所と別階の別部門のフロアに、用が無いのに入るほど私は勇気がありませんでした。社外の人間が、関係ないフロアに入るのは、普通に怪しい人ですからね。しかも、お姉さんはその部署の役員の席の真ん前にいますし。
※私は外部の人間ですが、セキュリティ(入室時のICカードタッチ)的にはお姉さんのいたフロアに入る事が出来ました。席を知っているのは苦情を直接聞くために、何回か訪れた事があるためです。
夜に南北線に乗っていると、東大前の駅前から乗車してくるお姉さんにばったり会ったことがあります。酒瓶(ウォッカの瓶)を片手にもって、酔っぱらっていました。私に気づくとものすごい反応をしていました。”大変なところを見られてしまった”という感じです。なぜか持っていたウォッカの瓶を私に押付けて(貰い)、お姉さんは途中で下車していきました。
後日、あのウォッカはかなりの高級品だと言っていました。私はお酒が分からないし、あまり飲まないので、お姉さんと私の共通の知人(お客様の会社の人です)にプレゼントしました。
ちなみに結構しつこく尋ねたのですが、なぜ東大前の駅から乗ってきたのか、何をしていたのかは、まったく教えてくれませんでした。
東大前の駅は周りに何もないですし、実は東大の出身で関係者と飲んでいたのではないかと私は思っていました(普通あの辺で食事をするのなら、本郷三丁目になると思います)。このお客様は東大や京大、慶応・早稲田など、上位の大学出身者が沢山所属していますし。
世の中にはいろんな人がいるものだなーと思いました。
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