[SIer]システム運用の記事を読んで

ネットを見ていたら、以下の様な記事がありました。

私の色々な感情があるので、文書が読みにくいかもしれません。
また、私の私的な考えが入った文書になっています。これがすべてでは無いと思います。あくまで私の経験と考えです。

内容を読んでみると、当たり前の事が書かれていて、内容がうっすいです。
SCSKとCTCの方の協議会での内容らしいのですが、こんな内容でよく記事が書けたものだと、思います。

ここでは夜間の電話について、あまり重要視されていない様に書かれていますが、記事にも記載がありますが、夜間の電話はどんな事前予防処置をとっても、無くなりません。
例えばハードウェアの応答が、1ミリ秒遅延をしただけでも、おかしくなるアプリケーションはあります(それを糞アプリと言いますが・・・)。
こういうアプリケーションは、予防処置をしている時も変な動きをするので最悪です。
予防処置も大切ですが、(障害対応の早期化、障害対応工数の削減を目的とした)障害が発生した際の一次対応の自動化が進むと、運用担当者が対応しなくてはいけない(面倒を見なくてはいけない)システム範囲が広がり、結局はさらにつらい状態になっていきます。

そんな状態で、色々なシステムで障害が集中したら、どうなるでしょうか?
結論は簡単です。地獄です。そこには地獄しかありません。
システム障害が発生したら、一次対応・二次対応をしながら、システム障害の原因究明をして、顧客への一次説明(説明資料も作成しなくてはいけない)、障害対応(一次対応、二次対応、恒久対応の検討)、恒久対応の計画作成、必要に応じて顧客への説明会を複数回行います。そんな対応をしている中でも、別のシステムの夜間コールがかかってくる。そして同様の事をしなくてはいけない。
そこにあるのは地獄だけです。

お客様は、運用費用を抑えようという事ばかり考えています。
お客様から見たら、システムは動いていて当たり前です。当たり前の様に動いている物にお金はかけたくありません。また、当たり前に使えていたものが使えなくなった時、お客様は原因が何であっても、お怒りになります。

お客様は、運用を続けていると、運用会社が年々スキルが溜まるとお考えです。年々スキルが溜まるのであれば、年間の運用費用は下がっていくという考えをもっている顧客が多くいます。
毎年の運用費用更新の交渉の際に、値下げ要求をしてくる企業は多いです。
SIerは、売り上げが下がるので、利益を確保するために、障害対応などあらゆるオペレーションを標準化して、自動化を推進するのですが、合わせて運用するメンバーの数を減らす&一人当たりの運用する範囲を広げる事をします。

管理職になると、そこにはさらに地獄しかありません。
残業代は出ないのに、24時間対応をしなくてはいけません。
さらに、対応するグループのマンパワーとか色々数値で表せられて、かつ利益も出さないといけないし、苦しい仕事をしているにも関わらず、四半期で色々とつめられるし、何も楽しい事はありません。
基本的に、運用は、システムが動いていて当たり前なので、ほめられることはありません。怒られる事しかありません。
いつも通りシステムが利用できるという事は、凄い事なのですが、それは利用者には分かりません。また、開発中心の会社であればあるほど、システム運用の評価は低いです。

また、予防処置を行うのは、休日とか、夜間とか、早朝とかそのシステムや利用する業種によって異なります。年間の時期というのもあります。小売業のシステムなどは、ニッパチという2月・8月が売り上げが下がる時期なので、2月・8月で調整する必要があります。
最近のシステムは、24時間利用可能なものが多いので、本当に調整が大変です。

自分の体の時間コントロール?そんなものはありません。体を無理に動かすしかないのです。大体、徹夜で対応して、寝れるぞって時に電話はかかってきます。システム障害が集中して、何日間も連続して日中仕事・夜間対応が続く事も普通にあります。ホテルなんてとる時間も行く時間ももったいなくて、事務所の床に寝る事もあります。

私は、管理職は矢面に立つ必要があると思っています。私自身、お客様のお怒りの場合は、必ず矢面に立ちます。メンバーに負担をかける事はさせたくありません。大体の障害の原因究明、顧客への説明資料作成から、説明まですべては私が行います。メンバーには別途内容を説明をします(障害の内容や、原因究明の方法、顧客への説明資料の共有など、ノウハウの共有をします。これは、私の進め方が良くなく、部下から対応内容の全体像や詳細をもっと共有してほしいと要望を言われ、反省して、共有する様になりました)。
しかしながら、私が会社で見ていた限り、部下に責任を押し付けて自分は知らない顔をする人の方が、出世します。部下を大切に思って仕事をしている人は出世できません。なぜなら自分が先に潰れるからです。
私は管理職になる前の段階で、すでにその時の上司から、障害対応をすべて丸投げされていました。私は、管理職でもないのに矢面に立たされていました。なので、そのようには自分はなりたくなかった。その時の上司は、出世しました。その時の上司の上司もその状態を見て見ぬふりをしていましたが、出世しました。

ちなみに夜間コールは、法的にはグレーです。
夜間コールについて、労働基準監督署を頼っても、期待した回答は得られないと思います。
働いた分だけしか、労働は認められません。
電話だけの対応なら、さらに労働時間(電話対応時間)もグレーです。
帰宅時間中の対応は労働時間とは認められません。
飲み会中の、中抜けで対応をした場合も、労働時間とは認められません。
自宅でパソコンを立ち上げてリモートで対応をしていても、リモート時間=労働時間とは認められません。あくまで、システム変更やメールを打っている時間だけしか認められません。
たとえ待機であっても、待機していた時間は労働時間とは認められません。(ここは法律上は本来は認められると思いますが、労働基準監督署では認めてくれないと思います。)
会社によって、どのように労働時間を計上する事が出来るのか、違うと思いますが、本当に会社によってだと思います。
労働基準監督署の観点で言えば、残念な事に労働時間に当てはまらないと思います。

※ちなみに、私が管理職になった際は、部下には夜間対応時間は待機も含めて残業申請をするように言っていました。精神的に拘束されるので、多めに夜間対応時間(残業時間)をつけるように言っていました。自分が嫌な思いを沢山してきたので、部下には嫌な思いをさせたくありませんでした。
私自身は管理職でたとえ対応をしても残業代が出ないのですが、労働時間は管理されている事から、残業代が出ないけど労働時間を計上すると、総労働時間が多すぎると指摘が入ります。その為、正しく労働時間を計上する事はできません。対応をしなくてもお叱りを受けますが、働く事によって労働時間が増えるとお叱りを受けます。どうにもできません。その為、労働時間はごまかして申請をするしかありません。管理職は地獄の様な状態です。
(残業規制がまだ緩かった頃は、残業代が多く付くので非管理職の部下の給与が高い… かなり悲しい状態になります。)

ある管理職は、入退室管理に履歴が残り、残業申請時間と入退室ログがズレているのが、本社から指摘が入らない様に、人の後ろについて会社に入って(出て)対応をしたり、勤務表は有給や代休にして、会社のそばのファミリーレストランで仕事をするなど、本社に記録が残らずに対応をしている人もいました。リモートで接続したログと、残業時間申請のズレも、なにかいい風な言い訳を作って、ごまかした報告をしていました。ただ、この行為はセキュリティ的にはアウトです。懲戒ものの対応です(SOXやISOの監査、自社の内部監査で発覚すると大変な問題になります)。本社は本当に色々な手で残業時間のチェックをします(これは正しい行為ですし、本来はこうあるべきです)。ですが、そこまで管理職は追い込まれているのが現状です。

総労働時間以上働くと、顛末書を書かなくてはいけません。会社のために働いていて、さらに管理職なので残業代はもらえない。それなのに、顛末書を書かなくてはいけない。対応策なども書かなくてはいけない。まったく腑に落ちません。再度になりますが、管理職は追い込まれているのが現状です。

部下には、夜間対応の時間を計上させるので、部下の残業時間が多くなるので、いつも人手不足になってしまいます。残業時間の規制は本当に厳しく、管理が大変です。その為、残業代が発生しない自分が対応メンバーに入る必要が出てきます。
人を増やそうと思っても、人が増えると原価が増えます。プロジェクト収支が悪くなります。また、人手不足な事もあってスキルのある良い人材はなかなかいません。転職して入ってきた人は、育てたら大体辞めていくか、会社内での異動希望をだしてきます。いつも教育ばかりしている様な気がします。新入社員からいる人は定着率が高いのですが、転職組はすぐに転職などしていなくなります。

まじめな人は、管理職にはなるものではありません。
このような状態は、対応者の精神を壊す未来しかありません。


あくまで、私の経験です。
記事には、運用をしていてお客様に提案を行うとか、グランドデザイン作成に参加するとかありますが、それは普通にあります。
記事では、何か凄い事の様に記載がされていますが、何が凄いのか私には分かりません。
お客様にもよると思いますが、お客様でかなり大きな事を考えられている場合など、その検討メンバーに入る事もあります。お客様の方針検討の場にも呼ばれたりします。お客様のRFP作成の前段階の構想段階から参加できます。
というか、運用だからできる提案と言うものがあり、現場を分かっているお客様であればあるほど、運用を理解し重要視してくれます。
特にインフラ系のシステムの場合、新システムの提案などは積極的に運用部門と、会社の基盤構築部門と連携して行う必要があります。受注の確度はかなり高く受注できます。(逆にお客様はこちらの提案を待っています。)
アプリケーション上で利用しているミドルウェアのバージョン、保証期間などを含めて一番情報を抑えているのは運用をしている担当者です。なぜなら、サポートを切れたものの運用は、障害時に最悪の地獄の様な対応をしなくてはいけなくなるからです。契約上は「サポート切れなのでメーカー支援が受けれらにので、分かりません。」「サポート切れが起きるので事前に連絡・提案をしていたのにバージョンアップを判断しなかったのはお客様でしょ?」と言えるかもしれませんが、それは通用しません。結局何とかして障害対応をしなくてはいけません。ITILなどで、情報を見える化して色々な人が情報を見れる状態にあったとしても、動いているシステムを一番分かっているのは運用担当者です。
※SOX(ITGC、ITAC)などで、ミドルウェアなどがサポート切れを起きている状態になっている事はリスクとなります。SOXの対象となるアプリケーションは、どのくらい会計に関係があるかが中心となります(全体の売り上げに対して何%の金額がそのシステムを通るのかなど)。なので、重要システムでもSOXの対象外となってしまうアプリケーションはあります。
オンプレミスのアプリであったり、パッケージを魔改造しているアプリは、ミドルウエアのバージョンアップも色々と他に影響が及ぶので、実行が難しい現状があります。本当に怖い作業なのです。

運用は一番の最下層の仕事ですが、ユーザーから一番近い位置で仕事をしており、また、システムの通常時の動作など、システムの事を一番分かっている仕事でもあります。その為、リプレイス時などは、超上流のグランドデザインからシステムにかかわる事が出来るのです。
こちらから積極的にお客様に提案をすると喜んでくれると思います。
特にお客様内の来年度予算申請の前に、話をして予算を確保してもらう必要があります。

よくSIerで運用会社を子会社にしてしまっている会社がありますが、そのような会社は分業が進んでおり、運用要員はマニュアル通りの仕事しかできない人ばかりになってしまいますので、残念ながら、上流工程のような仕事は出来ないと思います(周りの人が腐っていると、すべてが腐り、自分も腐る)。人はそのような仕事をする人をオペレーターと呼びます。
その代わり運用体制がしっかりしているので、夜間対応もうまく分業化が出来ているのかもしれません。

運用担当者の労働内容というのは、SIerの会社の体制や運用に対する考え方、お客様との接し方・運用体制というのも、大きくかかわると思います。

ちなみに、上記の記事の対談も、SIerの親会社の人達の対談ですので、本当の意味での下流の人では無いと思います。
SIerも色々ありますが、SESもそうですが、SIerの運用専用の子会社は働くに値しない会社だと私は思います。
また、前にも記載しましたが、売上げを人数で割って2000万を切っているSIerには、入社はしない方が良いです。
そのような会社は、給与もかなり低いですしね。

まあ、私は、SIerになる事自体をお勧めしませんけれど。


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