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『日本最南端のおむすびナンナンナンダ探訪記(前編)』【1000日おむすびハンターシリーズ❸】
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古代から現代まで、ずっとカタチが変わらない。しかもずっと多くの人に愛されている、日本のアイデンティティフード「おむすび」
そのおむすびを誰よりも愛し、まだ見ぬおむすびの姿を追い求め、日本中、いや世界中を旅していく。それが世界でただひとりの「おむすびハンター」の務めである。
もちろん、順調にいくことばかりではない。時にはおむすびに辿り着くことができず、くやしさのあまり涙することだってある。そんな「おむすびハンター」の旅の中でも、奇跡が重なり最高のおむすびに出会うことができた旅の話を語りたいと思う。
それは、日本最南端の島「波照間島」に渡って、自分の脚だけで日本最南端のおむすびを探しだす旅。
1.日本最南端の有人島「波照間」へ向かうのだ
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よし。今日は、運行するらしいぞ。
ホテルの朝食ブッフェを10分で食べ終え、急いでフェリーターミナルに向かう。
石垣島から離島に向かうには、安栄観光と八重山観光フェリーの2つのフェリー航路がある。この2つのフェリー会社は、なぜか同じような航路をほぼ同じ時間に出発しているライバル便だったりする。ただ、波照間航路だけは安栄観光からしか出ていないらしく、しかも1日3便しか運航していない貴重な便だ。
この波照間航路はかなり曲者で、とにかく欠航が多い。月によっては欠航率が5割を超えるらしく、昨日も波照間島に行こうとしたが乗船することは叶わなかった。
つまり、この運航するということはラッキーであって、絶対に乗り遅れることはできない。万が一満員になってフェリーに乗れないなんてことになったら大変だ。
そこまでして、どうして日本最南端のおむすび探しに向かうのだろう。それは昨年の夏、西表島で行ったおむすび探しの旅に起因する。その旅の中で西表島の南側、大原港の近くにおむすびキッチンカー「お結び八」を偶然発見。いろいろ調べた結果、ここが日本最南端のおむすび屋さんらしいということがわかった。
でも、おむすびって、おむすび屋さんだけで作られて売っているものではない。日本中のどこにだっておむすびはあるが自分の持論。
つまり、スーパーや居酒屋、食堂なんかでも食べられるおむすびはあるはずである。
世界で唯一のおむすびハンターと名乗るのであれば、そこまで調べないと日本最南端のおむすびを見つけたということはできないはずだ。そこで、日本最南端の有人島である波照間島に渡り、日本最南端のおむすびを見つける旅に出ることになったのだ。
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石垣島のフェリーターミナルの売店では、たくさんのおむすびが売られていた。離島に渡ると食事をするところが少ないらしく、おむすびやお弁当などの食べ物を買っていく人が多いらしい。でも、自分には関係がなさそうだ。だって、今日は波照間島のおむすびを何個も何個も食べることになるのだから。
この時は、これがかなり甘い考えであったということを知る由もなかった。
2.相棒は自転車キーキー号
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思ったよりも混んでいるなあ。
石垣島から乗った波照間行きのフェリー。
朝8時発という早い出発だがかなり人が多い。昨日の欠航の影響もありそうだ。作業服を着た地元の人、観光客らしき大きな荷物を持った人、ベストを着た釣り人などいろいろな目的の人が乗っていた。まあ、おむすび探しで乗船しているのは自分くらいだろうけど。
航海はかなり順調だった。雲はあるけれど天気は安定しているらしく、波も穏やかなようだ。途中、昨年渡った西表島が見えてきて懐かしく感じるところもあったが、さらに南へ南へとフェリーは進んでいく。
1時間ちょっと進んだところでフェリーのスピードが落ちてきた。窓の外を見ると、広い防波堤が見えてきた。ここが波照間港。日本最南端の有人島である波照間島にある玄関口だ。
よいしょ。ついに上陸!
南国の熱気がフェリーのクーラーで冷え切ったからだを包み込む。
石垣島と違って、波照間島では桟橋を降りたらすぐに待合所があるわけではない。かなり離れたところに旅客ターミナルがあるのが見えた。今回の旅の目的はおむすびを探すことなので、まずは、この旅客ターミナルにおむすびがあるか調べてみることにした。旅客ターミナルに入ると小さな売店が1軒あった。そこには残念ながらおむすびの姿はなかった。まあ、旅は始まったばかりだし、焦ることはないだろう。
さて、ここからどうしようかな。
まずは、島を周るための足を確保しないと。
よく見ると、港の近くには何軒かレンタサイクル屋さんがあるようだ。
近くのレンタルサイクル屋さんはすでに多くの人が並んでいた。
人気は、まだピカピカの電動アシスト付きの自転車らしい。料金を見るとちょっと高い。うーん予算オーバーかも。今回の旅ではなるべくおむすびを多く食べたいので、移動の費用はなるべく抑えたいところ。もう少し安い自転車がないかさらに離れたレンタサイクル屋さんを見に行くことにした。
おっ安い。
普通自転車1000円。ただ、見た目はかなり年季が入っている。しかも変速ギアがない、かなりノーマルなタイプだ。これは悩む。予算オーバーだけどラクチンな電動アシスト付き自転車か、安価だけど、かなり年季の入ったノーマルな自転車。
ううん。ここはノーマルな自転車にしよう。
自転車を借りて、ペダルを漕ぐ。漕いでみてわかったのが見た印象よりも、さらにオンボロな感じ。ペダルを踏むたびにキーキーと音がなる。大丈夫かなあ。ちょっと不安だけど、出発することにする。
少し漕いでみると、自転車から鳴る音もそんなに気にならなくなる。むしろ一定のリズムを刻んでいるので、心地よさも感じてしまう。
自転車キーキー号。
いい相棒になりそうだ。
3.日本最南端の郵便局でお宝マップを手に入れろ
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さて、どこに向かおうかな。
自分が考えていたのは次の2つのルートだ。
ひとつめは、日本最南端の地に行き、そこから北上をしながら飲食店を探していくルート。
ふたつめは、人が多くいる集落の方に向かっていき、その周辺で飲食店を探し回るルート。
どちらにしても、足がかり的な情報がまったくない。そこで、まずは情報を仕入れようと波照間郵便局へ向かうことにした。波照間郵便局は日本最南端の郵便局で有名な場所だ。きっと有益な情報もあることだろう。
すみませーん。教えてください。
「波照間島郵便局」とデザインされた絵葉書(ここでしか買えないらしい)を買いながら、窓口の方に波照間島でおむすびを売っている場所がないかを聞いてみる。
「うーん。共同売店がいくつかあるから、そこで売っているかもしれないねー」
「あとは、食堂とか何軒かあるから、そこで扱っているかもねー」
「そうだ、これを使いなさいよ」
と波照間島の飲食店などが細かく載っている地図をくれた。集落の場所やそこにある共同売店や食堂などが網羅されているらしい。
これは、嬉しい。この地図をもとに南側から飲食店を探していけば、最南端おむすびが見つかるかもしれない。
ちなみに飲食店が開くのはランチの時間に合わせて11時ぐらいかららしい。逆に共同売店は、お昼の時間はかなり長い休憩に入ってしまうらしく、注意が必要らしい。また、お弁当などは、そんなに数が多くないので売り切れることも多いらしい。
まずは、共同売店を周っておむすびを探すことから始めよう。
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4.次から次へと難敵襲来
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波照間郵便局でもらった地図を見てみると、島内には共同売店が5つあるようだ。
共同売店は各集落ごとにわかれて建てられているみたいだが、地図で見る限りそれぞれの距離はそんなに遠くないようにみえる。そのどれもが平坦な島の中心にあるようだ。
これなら、自転車キーキー号でもそんなに時間をかけずに周れそうだ。
いちばん南から順にみると次のようになる。
南共同売店、まるま売店、冨嘉売店、名石売店、丸友売店
このどこかに日本最南端のおむすびがある可能性が高いのだ。
気持ちもどんどん高ぶってきた。
早くいかないと売り切れてしまうかもしれない。
急げ!
まずは南共同売店に向かうことにした。
この南共同売店は、その名前の通り波照間島のいちばん南にある売店。ここにおむすびがあればミッションはほぼ終了ということになる。
自転車キーキー号を勢いよく漕いで、集落を横断する道路を進んでいく。道路といっても、そんなに広くはなく、車が1台通れるくらいの広さ。歩行者もほとんどいないし、車の行き来もほぼないし、信号もないのでどんどん進んでいく。この調子なら、もうすぐ着くだろう。
ところが…
やばいっ!
気がつくと目の前に黒い雲が広がっていた。つい、さっきまで快晴だったのに…
ポツポツポツ
ザッザッザー
ズゥワーーー
突然、スコールがやってきた。雨粒がやたら大きいし、自転車のキーキー音が聞き取れないくらいの雨音。なんとか雨宿りができそうな、大きな木を見つけて逃げこむ。服はビチョビチョ、靴もべっちゃり。最悪だ。
10分ほどで雨が止んだ。さっきまで真っ暗だった空があっという間に青空へ変わっている。
さあ、共同売店に向かわないと。休んでいた時間を取り戻そうと一気にペダルを漕ぐ。
急げ!
ところが・・
またまた難敵が待ち受けていたのだ。
えっ。あれはなに?
よく見ると道の先に2匹の白い犬が放し飼いになっていた。困ったなあ。昔、犬を飼っていたことはあるけれど、よその犬はあまり得意ではない。
ましてや南の島で放し飼いの犬だ。噛まれたら一大事だ。
いや、よく見ると違う。
2匹の白い動物。あれは犬ではない。
その白い動物は、すごい勢いで駆け寄ってきた。
噛まれるっ。あわてて逃げようとしたけれど、あっという間に自転車の下まで来てしまった。
えっ、子ヤギ?
それは、小さな子ヤギと、さらに小さな赤ちゃんヤギだった。2匹はあっという間に自転車の下までやってきた。
くんくんくん。子ヤギたちは、ズボンと靴下の間に鼻を埋めて匂いを嗅ぎまわる。そんなに匂いを嗅がれても、そんなに可愛い顔をされても餌とか持ってないよ。足元にいたら。危なくてペダルが漕げないよ。
スコールに子ヤギ。波照間島のおむすび探しは、なかなか前に進めない。
中編に続く。
※写真は、自分で撮影したものです。
※こちらの旅行記は、「1000日間で1000のおむすびを食す男」の特別編として、2023年5月に書いた記事を元に、追記編集、再構成して書き上げたものになります。
2022年の夏には、西表島で日本最南端のおむすび屋さんを探したことも。
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※毎日、おむすびの食リポをしていますので、よろしければ読んでみてくださいね。↓
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