TUG情報共有会レポ:データ活用からみる「顧客理解」とは


SQLの「GROUP BY」が便利だと最近覚えた、TUG事務局員・マミーです。

先日、とあるユーザーさんから発案いただき情報共有会を開催しました。
テーマは【データ活用からみる「顧客理解」】初のテーマでもあったので、トークディスカッション形式で、参加者方が現在行なっていること、どういう考えで顧客を理解しようとしているかの意見交換がされました。
その様子をレポートさせていただきます。


………2019.7.26(金)某所
テーマがテーマなだけに、メーカー系企業のマーケターの方が多く集まりました。
初対面同士の方もいらっしゃり、名刺交換と軽い挨拶を挟みディスカッションスタート。

顧客理解、できてる?

今回の会の結論を先にお伝えすると「一人一人の顧客理解は難しい!さらに施策に落とし込むのはより困難!」にいきついたのですが
そもそも、顧客理解を自分たちはできているのか。どういったデータから顧客の何を理解して、それをマーケティングに落とし込めているのか?のそれぞれの考えを話されました。

●データが大量にあってもあまり意味がなかった勢
・1st/2nd/3rdパーティデータが揃い、統合して分析して1to1マーケティングを行おうとしたが、その半分以下のデータ量で、ある程度のグループに分けてのマーケティングを行なった場合と、支持率・好感度・ブランド認知の効果差がほぼなく、手間やROIを考えると個々の顧客理解までする必要があるのか?という状況になっている。
・施策を考えその為にあれもこれも、とデータを取得しても持て余してしまう。
・会員登録やアンケートで個人情報となるデータを得ても、それだけで何かできる訳ではないのでデータを取るためだけの施策は縮小した。

●とにかくデータが欲しい勢
・直販を行なっておらず、購買データないのでまずそのデータが欲しい。そこから「なぜその商品の購入に至ったのか?」が見えてくるのでは…という期待がある。
・この商品は売れるだろう、と思って製品を開発している。が、それを買った理由は価格なのか、ブランドが好きなのか、たまたま手に取ったのか…の要因がわかれば、次に繋がる施策を考えられる。
・オフラインで何かしらのアクションを行ってもらわないと情報は取れない状況で、次の施策に繋げる為には、何をどう取得するのか、を考えているところ。

「ノイズとなるようなデータは必要ないが、何がノイズとなるか」の判断が企業によって様々でした。
共通していたこととしては「施策ありきでデータを取らないと使えない。でもデータがないとどんな施策するかが考えられない」というジレンマがあるとのこと…

施策に落とし込みにくい辛さ

データの量や質の話の中で、顧客理解を行おうとすると「で?」となることが多い。と話すユーザーさんも…

・〇〇に興味関心のある方は××を買う。という単純な話ではない
→誰しもがそうであるように、個々人が1つの製品や企業のサービスを考えているのは生活の中で1%あるかないか、他99%は他のことを考えている。その99%の情報を得たとして、関連性がなければ新しい施策に繋げにくい。

・顧客は自分たちが思っている動きをしない
→ECサイトでは自社内だけでデータがどんどん取得できる。が、そのデータが取れれば取れるほど「思っていたのと違う…」と困ることが多い。

・1to1コミュニケーションは企業も顧客もマイナス点が大きいのでは?
→究極は一人一人のコミュニケーションではある、が企業にとってはコストがかかりすぎる。顧客にとっても鬱陶しいと思われる可能性も…。
 また、自社だけが1to1の綺麗なCRMを行ったとしても、競合他社が無差別に毎日メルマガを送り、どのサイトでも広告を出すような施策をされると、自社が埋もれてしまいそもそも気づいてもらえない…。


顧客理解は、顧客の趣味嗜好を知ることではない

どんなデータも、具体的な施策を基に分析することが必要
・購買データから→買い替え時期の判別してレコメンド
・古参のロイヤルカスタマー→購買促進になる特別サービスを提供
・複数のブランドやカテゴリ商材があり明確にターゲットが違う場合→グループごとに広告配信

データが欲しいのであれば、企業側から明確なリターンを提供する
・顧客は自身のデータ提供は、それに見合ったサービスの提供があれば納得して提供してくれる
→例えば睡眠アプリ・妊婦さん向けアプリは、ものすごくパーソナルな情報を継続的に入力してもらうが、情報の提供の嫌悪ハードルよりも、サービス(リターン)が見合っているから活用する

店舗での接客でも、人にされると気持ち悪いと感じてしまうことを、機械(タブレットなど)に代等してもらうことによって、顧客の心的ハードルを下げる方法もあります。
顧客の行動パターンを追従していくことが、必ずしも顧客理解となるわけではない、とのことでした。


顧客理解ができると、どんな世界が出来上がるのか?

・クリエイティブが良くなる。
→コピーやビジュアルが対個人で鋭いものになって、よりストレスフリーなCRMができる。

・今後リピートするか、しないかでアプローチの出しわけができる
→リピーターへはレコメンドや自社製品のお得情報を、しない人へはインフルエンサーとして紹介キャンペーンでプレゼントなどのアプローチ。

・自社じゃないフィールドの、別のサービスやステージの顧客体験を作る
→店舗やイベント会場へ集客提案を行い、コラボをしたり自社製品を利用してもらったりする。

・量販店のデジタル化の手伝いをメーカーから行う
→量販店とメーカーのそれぞれが保有しているIDを連携することで、顧客にとって今まで以上の購買体験ができるようになることをメーカー側から伝えて新しい事業に繋げる。

・新商品の開発
→業界のトレンドで作るのではなく、顧客のトレンドで開発を行うことができる。


顧客の全ての状況を知るのではなく、その場その場の状況をリアルタイムに分析し、その都度最適な体験を提供する(時には提供を控える)こと
データ活用からみる「顧客理解」そして、マーケティングではないか。ということでした。


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レポートも3回目にして、どことなーく感づいていらっしゃる方も多いと思いますが
ユーザー会では現場感での悩みや、現実的に考えて…といった深いところを共有されています。

自社内では解決案が出なかった問題も”TDを活用している”という共通点から、別視点での問題解決ができるかもしれません。


TREASURE DATA USER GROUP事務員 マミー

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