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【140字小説】×3  幻の女たち


母のいる星

宇宙飛行士の父は、船外活動中に命綱が外れ、なぜかセルフレスキュー装置を作動させず、宇宙に放り出され、帰還しませんでした。

「火星と木星の間を回る四千の星のひとつに、十八年前に娘の出産で命を落とした妻の顔が浮かぶ星を見つけた」

船内に残された父のノートには、そう書かれてありました。


再会の発掘

彼女が逝ったのは、僕が二五歳の時。
以来、三十年以上、遺跡を相手に仕事をしてきた。幾千年も昔の栄華を砂の中から蘇らせるのだ。
しかし、今回完全な形で見つけた若き王妃の木乃伊は似すぎていた。干からびているとはいえ彼女そのものだ。
僕は全てを放り出し、中央亜細亜の砂の中に、共に眠りについた。


旅の終わり

博物館の一室、古代の王妃の石像に手をあて、盲目の老女が泣いていた。
「前の人生で私はこの王妃でした。愛する王の首は攻め込んだ敵に獲られて」
懐に手を入れ、彼女に言う。
「存じております。誇り高きあなたは自害なさった。だから今度こそここで、あなたを――」
懐から刃を抜き、旅を終わらせた。

                  

彼女たちは、どの世界にいるのだろうか。

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