十五帖「蓬生」角田光代訳源氏物語(忘れてたって、源氏!そういうとこだぞ)
末摘花ん家がすごいことになってる。狐は住むわ、フクロウはおるわ、木の霊とかもどしどし現れて、もはやお化け屋敷よりお化けなとこになっている。
が、我らが末摘花様は、そんなことどこ吹く風、姫様然として、ブレることはない。
いいぞー!末ちゃん。
源氏の援助がなくなって(忘れてる)、ものすごくビンボになっても、我らが末摘花様は、そんなことどこふく風。泣くけど。
そのうち、あんまり木が立派に(?)生えてんで、家売ってくれとか、調度品もずーと使ってんで、いつの間にやら骨董的価値が出て、譲ってくれとか言う人も出て来る。勿論、姫はNOである。亡き父上から受け継いだもの、そんなことできません!
いいぞー!末ちゃん。
かくして、末摘花の屋敷は草ボーボー、塀は崩れて牛馬が庭に勝手に入り込んだりする有様になる。
ある日、親戚付き合いも殆どないのに、叔母が訪ねて来る。自身はビンボに耐え切れず。身分を落として受領の嫁になった。だから、今だ姫様然としている末摘花が憎いのである。いっそ自分の娘の召使にしてやろうと、やってきたのである。姫がウンと言わないので、叔母は代わりに侍従を連れて行く。
冬になり、末摘花の屋敷の荒廃は益々進む。久しぶりに花散里の元へ向かった源氏は、邸というか森というか廃墟というか、その前を通りかかって、末摘花を思い出す。で、そのお化け屋敷に入って、末摘花と再会する。末ちゃん、恥じらう。可愛い。
源氏は忘れてなんかいません、文もよこしてくれないものだから、とか忘れてたのに、適当な嘘を言う。でもまあ、屋敷をキチンと整備して、二年後には二条院の増築した御殿に迎える。
源氏、気づいてくれて良かった。金持ちとか色男とか、悪気は全然ないのに、無意識で人を傷つけることあるからね。
私は、金持ちでも色男でもなくて、本当によかったと思う。
ここで知ったが、末ちゃんの愛読書は「竹取物語」であった。
末摘花29