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二帖「帚木」角田光代訳源氏物語(なぜ女は源氏にだけは許すのか)

帚木、遠くから見るとあるように見えるが、近づくと見えなくなってしまう伝説の木。

有名な「雨夜の品定め」であります。源氏を含めた男四人が、女の良し悪しについて、あーだこーだと話しだす。源氏はもっぱら聞き役。
内容は、フェミの人がキー!なりそうな内容です。女の美醜、家柄、性格、など大まかに話があったあと、実際の経験談となっていきます。
源氏以外の三人が経験談を話しますが、みなうまくいかなかった話です。なかでも左馬頭って奴は、始めからずーと喋ってる。いるね、こういう奴。話しだすと、止まらない奴。
しかし、なんで式部は女の良し悪しを、こんな長々と書いたんだろ。男にあれこれ評価されて、終いには、女ちゅうもんは困ったもんですなあ、なんて男に感想言わしたんだろ。
 ひとつには、男に読ます。てことでしょうか。男が考える恋愛あるある。よくいるよね、こういうの。たいがい女って、こんな風でさあ、なんて高みにいると思ってる男に読ます。
 もひとつには、女に読ます。て、こんな風に男は考えとんですわ。これでマウント取ったぐらいにいい気になってまっせ。それを踏まえて、踏まえた上で、男と付き合いましょうね。ったく、男って! ねえ、みなさん。
 の両方でしょうかな。男は女って愚かだね、て思うし、女は男って単純ね、て思う。
 フェミさん。そこんとこよろしく。単純に女ディスりじゃないのですよ。たぶん。
 後半は、源氏が方違えで、紀伊守ん家に急遽泊まることになって、そこで親父(伊予介)の若い嫁さん(空蝉)と関係してまう話。
 そうそう、若いころ源氏読んでて、なんでこう次から次に女は源氏に許すかな! 拒否せえよ! 逃げえよ! アホか! とか思ってましたが、この年になると分かりますな。
 なぜ女は源氏に許すのか。
 立場を変えればすぐに分かるもんでした。
 なんせ源氏は絶世の美男。女性は言い寄られたら、断れまへんのや。この辺は、若い私はなかなか理解できませんでしたが、ある時、ハタと気づいたんです。
 仮に今、ここに広◯すずが現れて、「前から好きでした。是非お手合わせを」なんて言われて、拒否れる男がおるかあ! ちうことだったんですな。そう考えると、速攻で納得できました。えっ? すずじゃない。じゃ、美波ちゃんでもさとみちゃんでも。えっ? お前キモい? そうですかすいません。
 で、空蝉と関係持っちゃった源氏は、これが中流の女というものかあ、なんて酷いことを思ったりするのですが、一夜明けると空蝉はもう頑なに源氏を拒否るんですな。手紙の返事もしない。勿論会わない。
 そうだ、中流には中流の意地があるぞー! 頑張れ空蝉! てとこで次回です。


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