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【短編連作】神木町

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2024年6月の記事一覧

11 母、逃げる

11 母、逃げる

「サッちゃん。ちょっと」
 振り返ると、人混みの中にしのぶさんが立っていた。今日は祭りなんで神社の白い半被を着ている。
「あ。こんばんは」
 しのぶさんは、うちのお母さんの親戚だ。姪とかいってたっけ。この神社に嫁に入った。お母さんが出て行ってから、親戚同士はなんとなく疎遠になっていったけど、しのぶさんだけは、今も何かと私を気にかけてくれている。
「ちよっと、いいかな」
 しのぶさんがまた言う。側に

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