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ロックダウン~非日常がいつしか平常に

■30分おきに救急車のサイレンが

ロックダウン中は、夫が週に一度近くのスーパーマーケットまで買い出しに行っていた。マスクと使い捨て手袋を家から持参して、帰ってくればすぐにシャワーを浴びて、服を洗濯して。まるで戦場に送り出すような気持で夫をスーパーへ。戻ってきたら即ドアノブや触った場所をアルコールで清掃。今考えれば、やはり極度にセンシティブになっていた。

3月4月は、毎日救急車のサイレンが鳴りやまず、日々「今日は30分おき」「今週は3時間おきくらいに減ったな」などとカウントしながら、目に見えないけど迫ってきている恐怖だけはひしひしと感じていた。そんな状況でも、人は慣れるもので5月6月はむしろそれが『平常』になってきていた。

■外出したければ自己宣誓書が必要だった

ロックダウン中イタリアでは、『自己宣誓書』なるものを記入し常に携帯して外出する必要があった。内容は、氏名、住所、電話番号、身分証明書番号とともに、外出の経路(出発地点、到達地点)、そして「私はコロナ感染症にかかっておらず、自宅療養の対象者ではない」「嘘偽りを申請した場合は、刑罰の対象となることを承知している」などというもの。街のいたるところで警察官がコントロールしていて、いわゆる検問みたいなことが行われていたので、外国人である私は混乱に巻き込まれないようリスクヘッジした上で、ロックダウン中の外出はほぼゼロにした。

■自己宣誓書を持っていないと...

イタリア人の夫は細かいことを気にしないので、戦地のスーパーに出かけるときでもこの自己宣誓書を携帯せずに行っていた。混んでいると、列をなして待たなければいけないという二重の手間とダメージを避けるべく、夜の遅い時間帯に買い物に出かけていたからだ。それでもイタリアの警察は夜遅くまで働き、夫はまんまと検問に引っかかった。しかし「持っていない」といったらその場で白紙の申請書をくれ、記入させられて事なきを得たようだ。

政府からお達しとして通知され、毎週のようにフォームが変更されていくというあっぱれイタリアンな七変化ぶりだったが、今頃はどこに保存され、今後その情報をどうしていくのだろうか、、と遠い目で思いを馳せるしかない。(きっとイタリアのことだから、シュレッダーもかけず紙リサイクルされていそうだぞ)

ちなみに夫の姉も、検問で引っ掛かり、宣誓書を記入携帯までは合格点だったものの、一緒に提示した免許証が3年も前に切れていたことが判明してしまった。ロックダウン中は、免許更新をする機関も閉鎖になっていたために、しばらくは自転車で動き回っていたが、大変な目にあってしまったことは言うまでもない。

外国に滞在していると、在留ビザ、身分証明書や免許証の更新などいろいろ手間となるのだが、ロックダウン下で公共機関も閉鎖となるともう自分のコントロール範疇を超えてしまっている。多くの場合が数か月間の猶予を与えられるようだが、こんなところにもヒヤヒヤが潜んでいることをこころしておこう。

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◆今日の使ってみたい英語フレーズ◆

Self-certification 自己証明

It is accepted to notify up to 5 days' illness by self-certification. 

自己証明で5日間までの病気を申告することが認められています。

ロンドンで働いていた時、会社の規定で、例えば病気が長引いて会社を5日間休むことになったら、医師による証明がなくても自己証明でHRに認めてもらえる、というものがあった。それ以上の病休には、Doctor's Noteという医師による証明が必要となるのでご注意を。