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【展覧会メモ】鈴木健司個展「皮膚と皺と襞のような」(絵画)
2022年10月、静岡市のアーティストロフト・カフェ・アートスペース”ボタニカ”にて鈴木健司氏による個展を撮影。
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鈴木氏の作品に出会う機会は過去に何度かあるが、長年の間、変形の画面と抽象絵画表現は一貫しているように見える。
作者のステートメントでは、自身の作品を「物体としての絵画」として言及していた。
古典的な絵画は二次元的な平面上に描かれたイメージのことを指し、フォトリアリズム的な奥行きを想像させたり、形や配色で心理的な作用を引き起こすなど、人の目の錯覚を利用したあらゆる視覚的効果、イリュージョンを開発してきた。やがて時代が第一次世界大戦後のモダンアートに突入した辺りから当事者たちの手によって絵画の定義は崩れ始め、冷戦が集結してコンテンポラリーが始まる頃にはほぼ解体し尽くされてしまった。
20世紀後半、急速に拡張し続ける絵画の定義は、もはやひとつの画面あるいは空間にすら収めきれないといった様相で、やがて一部の画家達の中からインスタレーションといわれる、空間演出的な表現手法に着手する者が出現する。
そうした変化の激しい歴史の積み重ねのうえに現代の絵画は立たされており、絵画を三次元的な視点で捉えようとする鈴木氏の作品もまたその歴史の同一平面上にあるように見える。決して鈴木氏の作品のありかたは絵画の領域を著しく逸脱したものではなく、むしろ真っ当な絵画のように見えた。
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作品の細部を注意深く観察すると、木枠に張られたキャンバスにわざと皺を入れられているものや、すり鉢状に大きく画面が凹んでいるような形状の作品もあった。
画面が小口で切り落とされその先が消失するのではなく、まるで裏側へ続いているかのように、三次元的な回り込みによって緊張感が保たれている。
確かに物体として主張する存在感を感じる作品だった。
感想
今回の展示の作品は、いずれも文章のように長いタイトルがつけられていたことが興味深かった。
私自身、作品とタイトルの関係について明確な態度をとれないでいる。
一度名付けた作品タイトルを、後から変更したいと思ったときは、気持ちが悪いし、だからといって、誤って名付けられたタイトルがその作品の在り方を方向づけてしまうことが個人的におもしろくない。とはいえ”Untitled”と書くのも気が引ける。
展示会場が変わるごとに名称も変わる作品を見かけることも少なくない。
作品を一言で言い表せないのであればいっそのこと、文章のように長い作品タイトルでも良いような気がした。個展ならば。
展覧会概要
鈴木健司個展「皮膚と皺と襞のような」
2022年 10/8(土)〜16(日)
10/11(火)休
13:00-19:00
静岡 ボタニカ ArtistLoft・Cafe・ArtSpace
写真
カメラ:X-T4
レンズ:XF16-80mmF4 R OIS WR
画質設定:S 3:2, JPG FINE, PROVIA STD
撮影:TSUZUKIToru
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