椎葉村図書館「ぶん文Bun」にしかない棚は?(クリエイティブ司書に訊く)
📚椎葉村図書館「ぶん文Bun」にしかない棚
図書館で棚づくりをしていると「これはウチにしかないなぁ~」と思うことがあります。
むしろそんなことだらけなのですが(大丈夫か?)、今回はその中でもとりわけ特別なひと棚をご紹介します。
📚そもそも全部特注品
「ぶん文Bun」だけの…というと、ソフト面での工夫もそうなのですが、そもそもハード面からみても、椎葉村図書館「ぶん文Bun」の棚はすべて特注品。「椎葉の、椎葉による、椎葉のための」本棚なのです。
この「エディット・キューブ」と呼ばれる建材を組み合わせた鉄骨製の本棚(木の板は椎葉産の杉材)は、図書館と地域をむすぶ協議会というぶん文Bunのコーディネートを務めた団体を通じて、京都の「東組」さんから納品していただきました。
こだわったのは「立体感」。本がもつテーマの連動を平面(二次元)ではなく縦にも横にも奥にもつなげられるような仕組みづくりの一環として、ジャングルジムのように立体的な本棚をデザインしていただきました。
(椎葉村図書館「ぶん文Bun」が気になってきた方は、館に棲むニホンミツバチであるコハチローをTwitterでフォローしておきましょう)
📚異彩を放つ「積読本」
クリエイティブ司書が本棚づくりをする際に最も重視しているのが「本そのものに語らせること」です。できるだけポップや案内看板を省き、本そのものが「私こういう者です」と語りだしてくれるような、そしてその語りに導かれて本が好きになってしまうような棚づくりをこころがけています。
中でも異色なのが、ただでさえ異色な『夢野久作全集』を縦積みにした本棚です。手に取りづらい…と思われるかもしれませんが、その手に取りづらさこそがこの棚のメッセージです。縦に重厚に積まれた夢野久作の積読本は「心して取り組まれよ」と語りかけてくるかのようです。
もう一つこの棚で表現したいのは「家感」です。家の本棚って、随所にこういう積まれた本があるものですよね。こうした「図書館らしくない」シーンを演出しどこか家の書斎のような空気感を醸すことで「わたしの場所」だと感じてほしいという狙いがあります。
実はこの「家の書斎感を醸す積み」の思想は、ぶん文Bunをコーディネートしてくださった太田剛さんの師匠のような方である松岡正剛氏が館長をお務めの角川武蔵野ミュージアムさんでも実践されているのです。
このことは大正大学出版さんの『地域人』第65号の記事でお見かけしたのですが、さすがの編集工学志向というか、遠く離れた所沢と秘境・椎葉村との共鳴を感じさせられました。ほかにも『地域人』第65号から得たメッセージについて言及している私のnote記事がありますので、併せて後でご覧ください。
📚「積み」を愛し、罪を滅ぼす「積読読書会」
本を積むという行為は、それだけで尊いものです。
何を唐突に…とお思いでしょうか?
いいえ、あなたはもう積読の魅力の虜になろうとしているのです。
本を積むだけで、人は幸せになれるのです。
というのも、クリエイティブ司書がこれまで15回実施してきたオンライン読書会「積読読書会」で、人はみな積読が大好きなのだと実感してきたからです(異論は認める)。
家に積んでしまった罪深き積読本を持ち寄り「なんかよくわかんないけれどこんな感じだと思う」と紹介しあって、ちょっとだけ読んでみて「やっぱり積んでおくのがいいや」「これは開いてよかった」「お風呂に入っていたので読んでません」などと、飲みながら食べながら語りあう読書会…、考えうるかぎりの自由を詰め込んだ読書会…。
それが、積読読書会なのです。
この記事を書いた直後の積読読書会は6月25日土曜日の21:00~となっていますが、月例で完全オンラインにて催しています(たまに平日昼の会もあります)ので、是非とも私のnoteやTwitterをフォローして続報をお待ちしてください!
積読読書会…。怪しいですが料金はかかりませんし、本以外のものを購入するよう勧誘されることはありません。なお積読が減るどころか増えても責任は負いかねます。
合言葉は「積まれよ、さらば救われん」です。
※クリエイティブ司書しか唱えていませんので、仲間募集中!!
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あぁ…なんだか積読読書会の宣伝に終始してしまったような気がします。
次回の「クリエイティブ司書に訊く」では、もっと棚づくりについて詳細に語るのか…あるいは皆さまからお寄せいただくご質問にお答えしたいと考えております。
ご質問は、本noteのコメントでもInstagramなどのDMでも、お気軽にお寄せくださいませ。
それでは、良い積読ライフをお過ごしくださいませ。
(椎葉村図書館「ぶん文Bun」が入る交流拠点施設Katerieのウェブページ)