「SPIN-Selling」法人営業の教科書ともいえる本を改めて読み直してみたら新たに学べることが多数だった。
こんにちは、オオハシです。昨今は連続投稿も全くできてなくて不定期投稿になっておるところではありますが、法人営業(特に大型商談を狙うアカウント営業)に関する教科書を改めて読み直してみたので読書レビュー投稿しますね。最近は改めて若手社員を指導することも多く、彼らに学んでいただこうと自分が読んだオススメの書籍を紹介しています。直近で読んだものは前回アップした 「質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?」です。
そちらの本を複数調達する際に、だったらせっかくだからSPINの教科書にも立ち返って読んでみたくなり、こちらの本を読むことになりました。では本論行ってみましょう。 (ちなみにSPINそのものについては今回の投稿ではほとんど触れておりませんのでご興味ある方は、ぜひこちらの本を読まれることをお勧めします)
SPIN-Selling
大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
ニール・ラッカム 著 岩木貴子 訳
2009年12月初版 2021年11月第27刷発行
「SPIN」営業術に関しては研修を受けたり実践で試したり10年ぐらいはつきあっており、昨今若手社員を指導する機会が増えたこともあり改めて原著(的な位置づけな本)を読むことになりましたが、全く輝きを失うことのないさすがな名著であると感じました。「無敗営業」や関連書籍にも参考とされておりましたが、「大型商談を成約に導く」とのタイトルにある通り、私のようなアカウント営業が顧客に向き合ってがっちり案件を育てていくスタイルの場合、本当に勉強になる書籍だと感じました。
ある程度の経験で、自分なりの型というか自分なりの手ごたえを感じていたところでありますが、こうして原著に戻って勉強しなおすと、新たな気付きをたくさん得られました。
具体的は、自分のスキルレベルだと状況質問(Situation Question)や問題質問(Problem Question)はある程度できてきていて、そこからすぐに解決の方向性、へと導いていきたい(けどがまんしないといけないというところは頭ではわかっている)ところを「示唆質問(Initiation Question)」の章でしっかり述べてくださいました。(後ほど引用抜粋します)「この質問は少々難しいので数か月練習しないと慣れないかもしれない」との記載もあり、たいへん前向きな気持ちになれました。
『質問法でニーズを発展させること』や『あなたの示す解決策で得られる利益(ベネフィット)を見込み客の口から語らせる』『買いたがっている人にクロージングテクニックはいらない』など、具体的なアドバイスが多数存在するとともに、『上達するには退屈な練習をじっくりと積むしかないのだ』や『細部の重要性』『一つひとつの行動という、些細だけれど重要なことの積み重ねによって、成功がもたらされる』といった、自らがスポーツから学んだこと、そしてコーチとして重要視していることを、営業術の書籍から改めて学ばせてもらったことは、夏休みの読書において改めて活力(エナジー)を得られたと思います。(直接関係はないですが、子育て勉強会の記事もリンクしておきます)
ちなみにこの書籍のすごいところは「あなたがいっていることは衝撃的でも型破りでもない。セールスがうまくいくときに私が実践していることを言葉で説明してくれたのです」という手紙が何通も届いたところだと思います。 大学で行動心理学を学んだ著者が上記のようなトップセールスパーソンが実施している一連のプロセスをモデル化し、圧倒的な商談の履歴(35,000以上)でモデルを検証しているところだと思います。付録A部分の汗と涙の結晶がすごく伝わります。
以下の抜粋は、いつもどおりですが自分への備忘(と若手社員へのメッセージ)混在しておりますのでご容赦ください。
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どの点に絞って努力するかだ
引用のはじめにもってきた部分はこちらの言葉、すごくインパクトがありました。無敗営業でも書かれていましたが、大型商談を勝ち切るためにはある程度のパターンがあるのです。やみくもにリソースをかけられるほど我々は暇ではない。 「その焦点をはっきり示す」という言葉でシンプルにメッセージングしてくれています。力になります。
継続と進展の違い
SPIN営業術の研修を受ける際に必ず出てくる「継続」と「進展」。言葉の統一化も非常に大事であって、言葉が統一化されてくると、目指すべき方向性も統一してきます。 具体的な商談に入る前に、「本日はどういう進展を目標とするのか」をきちんと準備してアプローチすることが重要と書かれています。 改めて重要だと再認識させられます。
顧客のニーズを見つけ出し、育てること
SPIN営業術という手法は、まさに質問を重ねて商談の確度を上げていくプロセス。 無敗営業やシップレイでの営業手法の基盤となっているような営業術と理解しています。(無敗営業やシップレイは、どう勝ち切るか、といところまで踏み込んで検討されている)
なので、SPINの質問術によって、お客様の潜在ニーズを顕在化していくプロセスが重要であることをこちらで述べられています。「顧客のニーズを見つけ出し、育てること」 そして、そのニーズを発見した際には、発展させることが重要と。 発見させる質問が、Sの質問とPの質問。 発展させる質問がIの質問からNの質問へのアプローチ。「発展のための質問」が効果的に決まっていけば大型商談での影響が大きいとデータが示してくれています。
示唆質問(I-Question)
こちら投稿の前半にも記載しましたが、「示唆質問」の難しさ、そして、そのための具体的な手法を記載いただいています。そして意思決定者に売り込むときに有効であることをデータにて示し、その理由を述べてくださってます。そしてさらに「見込客と話している最中に急に思いつくものではないのだ」と、お叱りをいただいてくれています。示唆質問は難しいけれど、日々のトレーニングで伸ばしていきたい、と改めて思いましたね。
解決質問(Need-payoff-Question)
解決質問は一般的なものが多く、概ねこちらの4種類の質問でカバーできるとシンプルなアドバイスとしていただいています。 大事なポイントはこちらの質問をすることによって、顧客の口から解決方法や解決された際にどんな「うれしい」が実現されるかを、話していただくことだ、と記載いただいていました。
商談でのニーズの発展と、約束
こちらの部分でも非常にシンプルにまとめてくださっていますよね。「進展」をどうとりつけるかを具体的に考える、質問力を使ってニーズを発展させる、そして約束を取り付けるには、具体的な三段階を踏まえて 「現実的な約束を提案する」こと。 そして、「何より大事なのは、話を複雑にしないことである。」とまで言ってくださっています。勉強になります。
示唆質問と解決質問
こちらもう商談のクライマックスですよね。成功に終わる商談ではたいてい、この「示唆質問」の頻度が高い、確かにごもっともだと思います。僕もまだまだ未熟ではありますが、自分の経験においても「示唆質問」がうまくいった商談は発展する、という手ごたえは事実あります。 そして、まさに最後の段階、 「見込み客自身に語らせること」 これができた商談は本当に営業冥利に尽きると思います。 自分の経験では、まだ数件程度しかそこまで我慢できた案件がないので、少しずつ伸ばしていきたいです。
最後のメッセージ
「神は細部に宿る(God is in the details)」と言われます。法人営業やっていて本当に思います。ちなみに私のチームの本年のスローガンは「凡事徹底」です。 きちんと商談の前には質問を準備し、どういう進展をとるのかを明確にし、示唆質問はいきなりできないと、顧客の問題点と関連する問題点の影響を考え、想像し… 「一つひとつの行動という、些細だけれど重要なことの積み重ねによって、成功がもたらされる。」 という言葉で送ってくれています。営業の勉強本としての最後のメッセージ、じんと来ました。
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以上
最後までお付き合いいただきありがとうございました。 定期的にアップしていきたいのですが、やっぱり読みだめた本もほとんどないので昨年だいぶ続けていた連続投稿は難しいチャレンジだったんだな、とも思っています。今後とも不定期でアップしていきたいと思います。(次のアップは夏休み中には実施だと思いたい)
ほかの方のレビューを見るのも楽しいので、いつものブクログレビューもリンクしておきます。
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