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山口周さんの『ビジネスの未来』は、僕が読んできた本の現時点での集大成だと感じた。

こんにちは! オオハシでございます。 
名古屋に住んでいるオオハシの周りは先週で緊急事態宣言が解除され、少しずつ街にも活気が戻ってきているとお聞きしているのですが(自分は終日ステイホームなので実際のところはよくわかってないのです)一都三県では緊急事態宣言も二週間延長となってしまったとのことで、気が滅入る毎日が続きますけど、こんな時は自分でコントロールできない事態を嘆くのでなく、その状況を受け入れて前向きに読書でもしましょう! 

ということで今週も山口周さんで行ってみることにしますね!!


ビジネスの未来
山口 周 2020年12月の本 

いろんな人が推薦しておられ、「買って読まなきゃいけない本リスト」に残っていた『ニュータイプの時代』とあわせて最新本として書店で平積みされておりあわせて購入。 

すごく面白くてぐいぐい引き込まれ中盤からはぐんぐん難しくなり、最後はやっぱり自分からがんばらなきゃな、と思わせてくれた本。難しかったけどすごく勉強になった。 自分の経験で話すと、僕なりに多面的な本を読んできたから、なんとかどうにか食いしばった感じだったけど、難しかったなぁ・勉強になったなぁ、最新本で読んだけどまただいぶ年が経った後に読み返しても面白そうだな、と思った本。

前半部に「高原社会」という見田宗介氏の提唱されたメタファーを用いて、『「低成長」は「文明化の終了」がもたらした必然的な状況(P15)』「低成長」はもっとも早く成熟化にいきついた、という着眼点は、なるほど!と自分としては腹落ちし、そこから読み進めていきました。 そうしてまた様々なファクトをもとに成熟化の状態に関して現在の状態を分析、考察し、ではこのような社会状態となり、さらにコロナ禍ともなった今、現代社会をどういう方向にもっていくか。 


筆者の複数の観点からの考察と提言、こうした本になると哲学的な話や資本主義/社会主義的観点、人間性の理論、社会起業家がチャレンジしているような社会課題に対するアプローチ。 第三者的・評論家的に述べるだけでなく(さらには独特の毒舌も交えながらキレよく読者を楽しませ)では、筆者はこう思う、君はどう考えるか?どう行動するのか?と問うてくる、この本は(山口周さんの本はいつもそうなのかもしれないが)やはりすごい本だと思った。

自分の経験で読んできた本で、この本を読む前に読んできてよかったなと思う本も(読んだのが昔過ぎてブクログレビューすらしてない時代の本もあった)列挙しておきます。 もちろん『ニュータイプの時代』はありますが、そこは置いておくとして。


世界標準の経営理論 ファクトフルネス 14歳からの哲学入門 
父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。  子どもたちの階級闘争
「社会を変える」を仕事にする――社会起業家という生き方
働きながら、社会を変える。――ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む
「社会を変える」お金の使い方――投票としての寄付 投資としての寄付 



(全部リンクすると終わらなくなるのでプレビューリンクは3つのみにしておきます。上の文のところにはそれぞれリンクつけておきましたのでご興味ある方はクリックしてみてください)
ほかにももちろんたくさんたくさんあるけれど、それらがベースとなってこの本にたどりついたことから、たぶん、ほかの方がすっとこの本を読まれる場合よりかは、少し理解が深かったかもしれない。

さて、本日も引用多めになります。 ※以降は個人的コメント
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P15 「低成長」は「文明化の終了」がもたらした必然的な状況だと考えられるからです。文明化が終了してしまえば、文明化の推進を担っていたビジネスが停滞するのは当たり前のことです。(中略)この「成長が止まる状況」を「文明化の完成=ゴール」として設定すれば、日本は世界でもっとも早く、この状況に行きついた国だと考えることができないでしょうか。これを逆さまにして指摘すれば「高い成長率」は「文明化の未達」を意味することになります。「進んでいる」のではなく、「遅れている」からこそ成長率が高い、ということです。このように「成長の意味」を捉え直せば、世界認識の絵柄は180度反転することになります。
P38 ミシガン大学の政治学教授、ロナルド・イングルハートは、先述した「世界価値観調査」の詳細な分析結果に基づき、私たち先進国の社会が、かつてのように、経済成長と所得上昇が何よりも優先された「近代社会」から、生活の質や幸福実感がより優先される「ポスト近代社会」へとすでにシフトしていると主張します。私たちはまさに「文明化が終了した時代」を生きているのです。
P84 シュワブは「資本主義から才能主義(Talentism)への転換」と記者に答えています。「才能」とは言い換えていれば「個性」ということです。いま、この世界に生きている人々が、各自の衝動に基づいて発揮する個性こそが、社会をより豊かで瑞々しいものに変えていく。そういう未来を「才能主義」と言っているのです。

※「君は君らしく生きて行く自由があるんだ大人たちに支配されるな」だと思った。


P96 目指すべき「高原社会」のイメージとは
 ○目指す方向
  大きな北欧型社会民主主義社会
  イノベーションによる社会課題の解決
  企業活動による文化的価値の創造

 ○目指さない方向
  小さなアメリカ型市場原理主義社会
  イノベーションによる経済成長の追及
  企業活動による大量消費の促進


P107 これだけ社会が躍起になって求めているイノベーションが「富の移転」しか起こさず、結果として失業と格差の拡大しかもたらさないのだとすれば、私たちが必死になってやっていることはいったい何なのか、と考えさせられます。
P123 「衝動」とはつまり「そうせざるにはいられない」という強い気持ちのことです。損得計算を勘定に入れれば「やってられないよ」という問題を解決するためには、経済合理性を超えた「衝動」が必要になります。現在の世界が抱えている根深い問題の多くは、そのような「衝動」によって自己を駆動する人によってしか解決することができません。


 ※こちら、齊藤 孝先生の「働く気持ちに火をつける」のP124のパッション、のところでの似た表現だと思った(the Passiveはキリストの受難を意味するの話)

P255 そもそも創造性というものは偶発的で予定調和しないという特徴を持っているからです。さまざまな試行錯誤が数多く行われ、いわば「アイデア」と「取り組み」の自然淘汰が起きることで、結果的に優れた「アイデア」と「取り組み」が生き残って成果を生む、というのが、イノベーションが生まれる発生過程の現実です。(中略)
 これはつまり、失敗を気にして慎重になることで「取り組みの量」が減ってしまえば、結果的に「質」もまた劣化してしまうということです。
P291 たとえばフランスでは年収およそ2000万円を超えると45%の所得税が適用されます。この45%の税金はそのまま国庫におさめることもできるわけですが、仮に何らかの寄付をすれば、寄付した額を所得から差し引いた残金に税率がかけられるので節税になるわけです。
 こうなると、自分の稼ぎの半分を政府に取られた上に、共感も納得もしていない用途に消えてしまうのであれば、個人的に応援している団体や個人に贈与したい、と考える人も増えるでしょう。

 ※この部分読んで、まさに、駒崎さんの本を思い出した

P295 自分の収入の過半を政府に預けるということになれば、集めたお金の用途について強い関心をもつのは当たり前のことです。そして、このような関心の強さはまた、人々の政治的リテラシーを高めることにもつながります。なぜなら政党や政治家から提案された政策の良し悪しを自分で判断するためには、社会が抱えている課題を自分で理解し、どのような解決法が望ましいのかを自分で考えるための勉強が必要になるからです。
P296 1960年代のアメリカにおいて公民運動を指導したマーティン・ルーサー・キング牧師は、社会変革を阻害する要因として「善人の無関心」を挙げ、次のように嘆きました。
 この変革の時代において、もっとも悲劇的であったのは、悪人たちの辛辣な言葉や暴力ではなく、善人たちの恐ろしいまでの沈黙と無関心であった。

 ※やっぱり「No!と言いなよ!サイレントマジョリティー」だと思った

P314 あとがきの最終文
 クリティカルであることを忘れてしまった人々、現在の世界を「そのようなものだ」と受けれ入れてしまっている人々にこの「愚かさ」の修正を期待することはできません。その役目を担うのは、いままさに、こうしてあとがきを読んでいるあなただということです。ぜひ「資本主義のハッカー」たる自負を持って、新しい世界の建設に携わっていただければと思います。

はじめて「引用」という方法を採用してみました。こういう方法が正しいかはちょっとわからないのですが、間違いであったらどなたかが指摘してくれると思っています。 さていつものブクログのリンクをつけて終わりにしたいと思いますが、本当に今週はリンクしたい情報が多くて多くて長くなってしまいました。 最後まで読んでいたきありがとうございました。 ブクログのリンクに加えて、(僕の本当に大好きな)サイレントマジョリティーで終わりたいと思います。






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