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営業成約率を上げる質問スキルとは・・・印刷と製薬業界の経験から

営業経験とSPINとの出会い

私は2005年に福岡大学理学部を卒業し、その後福岡の印刷会社(法人営業職)に就職し、さらに3年半後に、製薬会社のMRに転職しました。(それについては別の記事「営業とは・・・社会人1年目の底辺から」にもありますので、もしよろしければご確認をお願い致します。)MRを4年経験した後は、マーケティングや営業企画に近いポジションを経験させてもらえるチャンスを頂いたので、本社に異動となりました。現場での営業経験7年半で、得たものは今でも社会人として、そしてビジネスマンとしての考え方のベースとなっています。新卒の印刷会社では、2年目と3年目は数字的に上2割に入る成績でしたし、製薬会社では、4年間のうち、(1年目のMR試験受験の年以外の)3年間は上の2割に入る成績でしたし、全国で上の1割にしか表彰されない優秀MR賞を2度受賞しました。年間の評価として、私は7回の営業としての「結果」があった訳ですが、就職と転職それぞれ1年目を除く、5回の結果を見た時に、3回は上2割、2回は上1割に入る成績でした。営業には成約率という言葉があり、一般的に「営業担当者がクロージングできた案件の割合のことで、営業担当者のパフォーマンスを見るための指標」を意味しています。今は、営業のスタイルも様々で、業種によって特別化も進んでいると思いますし、指標は多角的にいくつも存在する考え方もあるかと思いますが、基本的には、営業が営業成績を上げるためには、成約率を上げることが必要です。私がどのようにしてそのような高い成績を上げられたか?と言いますと、印刷から製薬業界に転職してすぐの頃にSPINという方法(本)に出合ってから、その説明ができるようになりました。それについてお話していきたいと思います。

大型商談と小型商談

印刷会社では、1年目は飛び込み営業ばかりで、2年目以降は大口の既存顧客も引き継いで行きながら数字を作っていくという状況でした。ここで大事なのは、1件あたりの売上と、件数です。つまり、その案件が、大型なのか?または小型なのか?ということです。飛び込み営業では当然ながら、商談できたとしても名刺の作成やちょっとした封筒印刷や社内でできない大判のコピーなど、数万円以下の少額な案件なので、小型です。事務の方や、現場の担当者が、個別に決済し精算処理できるレベルです。大口の顧客を引き継いでからは、年間に1000万を超えるような取引もありますし、このようなケースでは当然ながら、事務や現場担当者レベルでは決済ができないので、その部門のTOPや、その支店のTOPなどの決済が必要になってきますので、大型です。もちろん、飛び込み営業で開拓した顧客が、継続的な少額の取引で信頼関係を築いて、大口の顧客になることもありましたので、そうなってくると大型という判断ですね。つまり、印刷会社での営業では、「大型商談」と「小型商談」が常に混在している中で仕事をしていたということです。その後、製薬会社のMRは大型商談なのか?小型商談なのか?というと、私の経験から言いますと、患者さんの数が多い高血圧の薬や抗菌薬などのいわゆるプライマリー製品を扱うケースでは、比較的1剤あたりの薬価も安く「小型商談」に近いと判断できると思います。一方で、がんや希少疾病や難病など、患者さんの数が少なくて致死的な疾患の薬を扱うケースでは、比較的1剤あたりの薬価も高く「大型商談」と判断できると思います。ちなみに私が転職したMR職は、後者(希少疾病領域)でした。では、なぜこのように「大型商談」と「小型商談」に分ける意味があるのか?もちろん成約率を上げるため、そして営業成績を上げるためです。そこでSPINという方法の出番です。(転職の経緯については、別の記事「正直に答える・・・就活と転職の経験から」にもありますので、もしよろしければご確認をお願い致します)

SPINとは

SPINとは、「S(Situation)=状況質問」「P(Problem)=問題質問」「I(Implication)=示唆質問」「N(Need payoff)=解決質問」の4つの質問の種類の頭文字をとったものです。私は本で学びましたし、今ではインターネットでもすぐにHitすると思います。本の中では、アメリカのゼロックスのコピー機のSalesを研究対象として、成績の良い営業と悪い営業で、どのような質問の違いがあるかを調査、解析しています。私は製薬会社に入ってすぐの頃にこの本を読んで、この考え方を学んだ時に、なぜ印刷会社で自分が上2割に入るような成果が上げられたのか?がクリアになりましたし、その後のMRとしての活動も「これは大型商談のやり方が応用できる」と判断できたからこそ、その後の成績がついてきたことも間違いないと考えています。具体的には、「小型商談」では「解決質問(N)」を多用することで、成約率は上がるとされています。イメージしていただきたいのは、100円のボールペンを買う時です。今使っているボールペンでは満たされない何か(例えば書きやすさなど)を、100円で解決されるのであれば、「今感じられている書きにくさを100円で解決してみませんか?」と質問されると、「そうですね。買ってみます。」というイメージです。では、「大型商談」ではSPINの中で、どの質問が重要か?と言うと、「状況質問(S)」でしっかり顧客の状況や背景や考えなどを理解して、その事実の中で起こっている問題について「問題質問(P)」をして、起こっている問題に加えて今後起こりえることや懸念、過去に起こった問題との関係などを示唆する「示唆質問(I)」をして、最後にそういった問題を解決するための策として自社製品やサービスがお役に立てないか?という「解決質問(N)」を投げる・・・ということになります。ただここで大事なことは、成績の高い営業は大型商談において「示唆質問(I)」を多用しているということが言われています。イメージしていただきたいのは、生命保険に入る時です。家族構成や今の収入、今後の計画といった状況(S)をクリアにした上で、今の問題(P)として、なぜ生命保険が必要か?考えます。さらに今後、予期せぬ事故や病気など起こりえる問題を示唆(I)しますね。それらを解決(N)するための生命保険です。その中で、このような大型商談の場合は、顧客の購買という決断をしてもらうために、ある意味自分がコンサルティングするイメージで、あらゆる可能性を示唆しながら顧客に必要な手段として、自社製品/サービスを提案していく質問方法が大事で、そういう意味では、「示唆質問(I)」は成約率にも影響するキークエスチョンとなってくる訳です。これで、成約率を上げるための営業方法として、「大型商談」と「小型商談」では使う質問の種類が大きく違うことが明確になるかと思います。私は希少疾病の医薬品を扱っていましたが、希少疾病のようなエビデンス(証拠・根拠)が少ない領域においては、治療方法によって患者さんの人生を左右されるような状況があります。また、治療薬の選択肢も少なく、薬価も高いために、決断に慎重になられるのは医師も患者さんも当然です。そんな中、私は医師の向こうにいる患者さんに治療方法の一つの選択肢として自社製品を届けるために、SPINの質問を最適なタイミングや比率で使いながら活動してきたということです。特に医師に気づきを与える「示唆質問(I)」が重要であったことは間違いありません。ただ医薬品では業績や営業成績というよりも、自社品による患者さんへの貢献度です。つまりSPINは、営業成績を上げるため、成約率を上げるため、という論調で書いてしまいましたが、本来営業は顧客と一緒に何らかの課題解決をするパートナーの最前線の担当者ですので、SPINによる効果的なコミュニケーション方法が本質であるということです。

営業「数字」を有効活用してキャリアを切り開く

営業をしていると、辛いことも楽しいことも、たくさんあると思います。私もたくさんの経験をしてきました。現在、営業担当者を離れてから8年くらい経ちますが、、やはり一番思うのは、営業の一番の特権は、最も動かぬ証拠である「数字」による評価が一番クリアな職業であるということです。営業をしているうちは、この特権を最大限有効活用して、自分のキャリアを自ら切り開いで行くべきです。そしてもう一つは、やっている営業の本質を理解して、そこに向かって仕事すべきだと思います。目的は数字を上げることではなくて、何かに貢献した結果、たまたま数字に表れているだけだということです。医薬品を扱うMRであれば、患者さんへの貢献です。製薬会社の利益はもちろん薬の売上によるものです。そしてそれは、患者さんの自己負担もありますが、日本は国民皆保険ですので、ほとんどは国の医療費として国民から支払われている税金です。そう考えると、患者さんや医師、国の医療に貢献した結果が数字に表れているだけと考えるべきです。印刷会社であれば、案件ごとに、プロジェクトベースでその目的は違ってきたりします。何のための印刷物なのか?顧客はその印刷物を使って世の中に何を発信し、成し遂げようとしているのか?そこにパートナーとして貢献することが本質です。営業を楽しんで、質問する力を磨いて、営業を、自分キャリアの中で最大限有効活用しましょう!

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