【書評】アフリカ―資本主義最後のフロンティア/「NHKスペシャル」取材班/新潮社
アフリカ―資本主義最後のフロンティア/「NHKスペシャル」取材班/新潮社
本を選ぶにあたって、
自分のいる世界から遠ければ遠いほど、未知との遭遇が体感できる。
読書は本選びが9割だと聞き、自分と遠い存在のもの、知ってるようで全然知らない世界を体感できたら、自分自身の世界観がまた大きく広がっていくと感じ、
7月は「知らない世界を知ろう月間」にしよう。
よし、それを「ゼロイチ読書」と名付けよう。
と決めました。
そして、自分の知らない世界って何だろう。。
と考えた時に、
「アフリカのことって知らねーかも」
と一番に頭に浮かんだので、アフリカ初心者にアフリカをわかりやすく説明してくれそうな本を本屋のアフリカコーナーにあるたくさんの本から探し出したのが、本書である。
本書の中では、アフリカ大陸全ての国の細かい説明をしているわけではない。経済的にはまだ豊かではないが、確実に変わろうとしている国々のリアルな現実が描写されていた。
本書は、NHKスペシャル「アフリカンドリーム」の取材班が実際に取材に訪れた際に見た光景であり、2010年に書かれたものである。
そこから9年もの月日が経ち、今現在のアフリカは、ここに描かれている内容からさらにアップデートされた状態になっていることに違い無いが、少なくとも大まかなアフリカの抱える問題や未来への可能性を知ることができた。
「9億人の巨大市場と豊かな天然資源」と表現されるアフリカではあるが、そんなざっくりとした表現だけでは表しきれない、実際にそこでいきている人たちは、自分と同じように毎日を、希望をもって生き抜いている。それぞれの未来を信じ抜く想いの強さでいうと、豊かな国の日本人である自分では到底かなわないものがあると感じた。
普及する携帯電話、アフリカに欠かすことのできない中国、ルワンダ大虐殺について、アフリカの未来の鍵を握るディアスポラという存在、ジンバブエのスーパーインフレがなぜ起きたのか、ダイヤモンドによって国を再生させた国ボツワナ、なぜアフリカの国境線が直線で書かれているのか・・・etc
世界情勢を知る人からしたら、めちゃめちゃ有名なことばかりかもしれないが、知らなかったんだからしょうがない。ここで知ることができてよかった。
どれも日本に産まれて何不自由なく幸せに生きてきた自分にとっては非現実的すぎる世界であり、自分がいかに恵まれているかということを終始考えさせられ続けた。
生活の中で生死について考える悩みなど、はっきり言って考えたことがない。
特にジンバブエの話は鳥肌がたった。
とある男性。このまま自国ジンバブエにいては親や子供が餓死してしまうというとこで、夫婦ともにパスポートも持てないので国境のフェンスを飛び越えて南アフリカに行き、家族に仕送りを送ろうとしたら、国境線で強盗団に会い、妻をさらわれた。と言う。
こんな世界。自分の日常に当てはめて考えられない。
ただ、これからは、そんな世界があると知りながら毎日を過ごすことができる。
それはとてつもなく大きい。
自分自身の生活への感謝。消費者としてアフリカに貢献できるかもしれないと考えたり、前よりもアフリカへの関心が膨らんだことで何か行動も変わるかもしれない。
まさに本書はそんな自分の中でのアフリカがゼロからイチになったような一冊だった。
アフリカ初心者にはオススメ。
※ゆっくりと読み進めながら、途中途中でGoogle検索して、実際の画像や映像を見ながら読んでいくのもGOOD