【読書記録】続百鬼園随筆
2024年244冊目。
『百鬼園随筆』の続編です。新しい文章と古い文章が混ざっているようです。新しい方は教員を辞めて文筆業に専念し始めた時期のようで、「月給がなくなつたのは困るけれど、それは当分売文を以て補ふ」という記述がありました。前作『百鬼園随筆』が大ヒットしたのでそれなりの収入があった頃だと思うのですが、当時の経済状況はどうだったのでしょうか。
子どもの頃の話を読むと両親よりも祖母が出てくる割合が圧倒的に多く、おばあちゃん子だったんだなと思いました。父親を早くに亡くし、家族を養わなければならなかったようですが、その時期のことはあまり書いてありません。内田百閒にしても辛い時期だったのでしょうか。
そのかわり教員生活のエピソードが多いです。とにかく自身のドイツ語に自信がなかったのが窺えます。今の時代なら音声教材がいくらでもありますが、当時の日本で留学もせずに外国語を習得するのは大変だったのではないでしょうか。それでいざ会話をするのを躊躇ってしまうのはわかる気がします。