【読書記録】半七捕物帳1
2024年131冊目。
私にとって綺堂は『青蛙堂鬼談』を書いた人ですが、世間的にはこちらの方が有名かもしれません。実際シャーロック・ホームズに影響されて捕物帳というジャンルを創出した功績は大きく、乱歩以前の日本ミステリ史に残る偉業だと思います。
綺堂には『探偵夜話』などの本もありますが、あちらは本文にも書いてある通り探偵趣味の作品でミステリというには弱かったんですが、半七は事件を理性的に解決しようというスタンスが見て取れます。神隠しや幽霊騒動を現代風に推理していくのがよかったです。
解決される事件の方も、綺堂らしく怪奇趣味があって楽しめます。娘の一周忌に母がとり殺される「お化け師匠」や帯にまつわる怪異譚の伝わる池に実際に帯が捨てられている「帯取りの池」などがよかったです。
「半鐘の怪」は犯人のネタも伴って「モルグ街の殺人」を思い出しました。それだけに終わらず人情話がついてるのもいいですね。