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【読書記録】高原英理恐怖譚集成
2021年223冊目。
恥ずかしながら高原英理の単著としては初めて。作品自体は「ナイトランド・クォータリー」やアンソロジーなどで読んだことがあります。
『抒情的恐怖群』の全7編に5編を増補した中短編集となります。ゴア表現やトライポフォビア的な描写が多く、読む人をかなり選びます。
ゴア表現の強烈な作品が多いですが、「結局は生きている人間が一番怖い」といったサイコ作品ではなく、どれもはっきりとした因果関係などの語られない不条理な作品となっています。ここら辺は怪奇幻想小説の作品の名手である著者らしさが感じられます。
全4章立ての中で、第二章の「樹下譚」「グレー・グレー」「影女抄」は「怪奇なシチュエーションのもとに語られるラブストーリー」(後記より)であり、いずれも良作揃いでした。
その他だと「町の底」「水漬く屍、草生す屍」がお気に入り。「町の底」はとある町でのみ定期的に語られる都市伝説の謎を追うミステリ的な展開の作品。「水漬く屍、草生す屍」は山中他界や浄土、黄泉のイメージを混ぜ合わせながら、そこへ向かおうとする死者の凄惨な旅路が印象的な作品でした。