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【読書記録】淵の王

2022年21冊目。

いわゆる守護霊のような存在が語り手のお話しです。

第1章を読んだ段階では語り手こそスピリチュアルなものの、事件そのものにはからまず話が進むため、どのようなテーマなのか判断に困りました。事件そのものも現実としてあり得るものでしたし。

第2章で原稿に書いた覚えのない女性が描かれるというエピソードからようやく怪異譚の雰囲気に。恐怖に打ち勝つために押切蓮介さんの『サユリ』のような作品を描きたいというセリフが出たので、『サユリ』を読むような感覚で読めばいいのかなと思いました。

『サユリ』は幽霊に家族を奪われた少年が幽霊に一矢報いるお話しですが、幽霊に立ち向かうために「命を濃くする」よう部屋の掃除をしたり、食事をキチンととる、運動をするといった普段の生活の重視していました。

本作も何か悪意のある存在があり、それに立ち向かうためにどうするかがメインなのかな、と。

そして、果歩はやはり最終回を書き上げられなかったことが敗因だと思いました。

第3章の主人公は怪異を呼び寄せるためにあえて生活を乱します。ここも『サユリ』の影響があるのかなと思いました。

ラストのオチはやや消化不良。穴の謎が残るものの、傍観者として動機が説明できてしまうのはマイナスに感じました。

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