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【読書録】神々のいない星で 僕と先輩のウハウハザブーン
※この記事は『神々のいない星で』および『終わりのクロニクル』のネタバレを含みます。
ファンには周知のことですが、川上稔の作品群は共通の世界観のもとに構築されており、滅亡と発展を繰り返して進んでいくとされています。
上から下へ進むほど未来の世界となっています
『流体』、『武神』といった共通した単語が出てはくるものの、シリーズ間は没交渉であり、基本的には既シリーズを読んでいなくても問題のないような作りとなっています。
しかし、EDGEシリーズ『神々のいない星で』は第一巻『神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト』では
『境界線上のホライゾン』の作中で言及される“神代の時代”
―公式サイトより
の話とされ、これまでのシリーズとの関連性を強く意識させていました。
そして最新作『神々のいない星で 僕と先輩のウハウハザブーン<下>』ではついに過去シリーズでの出来事が直接言及される箇所が登場します。
――地球時代のあれこれが原因でな? 神道も関わっとんのやで?
地球時代の話です。当時あった融合期。数々の神話が実在のものであると、そのような流体的、情報的変動を受けたとき、生じた戦争の中で、ゼウスの雷は神道に由来する武神の装備として使われてしまったんですよ
これはAHEADシリーズ『終わりのクロニクル』の3巻での出来事を指します。武神・荒帝が使用する武器の名称が「神破雷(ケラヴノス)」。クロノスによって荒帝に搭載されたこの武器によってテュポーンは倒されました。『神々~』ではテュポーンの妻であるエキドナが回収したこととなっており、「神破雷・黒(ケラヴノス・メラン)」として再登場をはたすこととなります。
このように今までとは違う展開を見せているEDGEシリーズですが、上図の各シリーズの中で最後に作品化されたシリーズであることから、もしかしたらこれまでの集大成となるようなシリーズとなるのかもしれません。往年のファンとして今後も見逃せません。