【読書記録】弱気MAX令嬢なのに、辣腕婚約者の賭けに乗ってしまった 1
2021年188冊目(漫画等109冊目)。
ニコニコで読んでから単行本が出るのをずっと楽しみにしてた作品(発売おめでとうございます)。おなじみ悪役令嬢ものでございます。
主人公のピアは熱を出した際に前世の記憶を取り戻します。前世は日本の大学院生で、研究に打ち込んでいましたが、恋人だと思っていた男に自分が浮気相手であったこと、自分の研究は男の名義で提出されてしまっていたことを知り失意に沈みます。そしてコンビニ強盗に出くわした際に刺されて亡くなったのでした。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したことを知ったピアは前世のトラウマから再び恋人に捨てられることを恐れ、今のうちに婚約破棄することを願い出ます。突然の申し出に、婚約者であるルーファスは不審を抱き、本当のことを話すように迫ります。ここが乙女ゲームの世界であることはボカシながらも、自分が将来婚約破棄される予言を得たとしてルーファスに事情を話します。
ピアの語る予言に対し、ルーファスは自分が誰かの思惑に嵌められることはないとし、もし自分が婚約破棄をするようならピアに多額の賠償金を払うことを申し出ます。代わりに、イベントが発生するアカデミー卒業時点で婚約破棄がなされていない場合はピアは速やかにルーファスと結婚することを提案します。
ピアは婚約者に捨てられることに怯えながらも、デメリットの少ないこの賭けに乗ることになったのです。
ピアが本当に欲しているのは男性からの一途な愛情です。ピアを政略結婚の相手として見ていたルーファスですが、相手を信じ、愛し愛されることを望むピアの心情を知ったルーファスは、その瞬間に恋に落ちたのでした。
以上あらすじ。以下感想。
悪役令嬢ものが好きでnote にもいくつか記事を書いていますが、本作は婚約者が婚約破棄の未来を知っていること、1人の婚約者に溺愛されていること、主人公がハッピーエンドに向けて努力するというよりは諦観を抱えながら状況に流されてしまっていることあたりが特徴でしょうか。他の作品だと『僕は婚約破棄なんてしませんからね』が似た舞台設定だと思います(連載を追っていて単行本は未読なのでnote はまだなし)。
ゲームの強制力が強烈な『僕は〜』に比べると、こちらは世界が優しい雰囲気ですね(今のところはですが)。
コミカライズを担当されている村田あじさんの絵が私好みです。好みの絵柄だと眺めているだけで幸せになれるのでよき。
この世界、攻略対象全員が「あなたと結婚できなくても一生守って生きていきたい」と揃って婚約破棄するひどい展開になるらしいのですが、攻略対象の一人である王太子フィリップとその婚約者である令嬢アメリアが後半で登場。この二人、一話の冒頭で婚約破棄を言い渡す場面が描かれているため、将来的には大変な目に遭いそう。人格者として描かれているので、どういう経緯で婚約破棄に至ってしまうのか。この二人にも注目したいと思います。