【読書記録】九相図をよむ 朽ちてゆく死体の美術史
2021年243冊目。
死体が腐敗し白骨になるまでの過程を描く九相図の解説本です。
海外における源流や鎌倉時代から江戸時代、現代における作例に触れながら、本邦において九相図がどのように発展してきたのかを知ることができます。
九相図は死を想起させることから西洋におけるメメント・モリと対比されることが多い印象があるのですが、西洋のメメント・モリは人骨でできた寺院があったり、骸骨がダンスを踊っている絵画があったりと、生に対する死の勝利といったイメージが強いです。
対して九相図ではどのように栄華を誇っていてもいずれは死んでしまう儚い存在なのだという無常の概念が強いということがよく分かります。
九相図で描かれるのは大半が女性であり、美貌で知られた小野小町であるとするものも多いことからも実感できました。