【読書記録】骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚
2022年5冊目。
ユーモア小説『ボートの三人男』で知られるジェロームの短編集です。
ユーモアを感じられる作品から皮膚粟立つ恐怖譚、幻想的な妖精譚ありとバラエティ豊かな作品が揃っていました。いくつか取り上げてみます。
「新ユートピア」
SF的な作品。寝て起きたら数百年の時が経っていた男が近未来世界を案内されるお話。社会主義が浸透して毎日決められた生活を送るディストピアが描かれます。
「牧場小屋の女」
本書随一の恐怖譚。牧場小屋に迷い込んだ男たちは前の住人が残した手紙を見つけます。手紙には、呪われた牧場小屋に住むことになった夫婦が見舞われた、まるで呪いの再生産を行うような恐怖が書かれていました。やはり私は怪奇譚が好きなのでこれが一番好きな作品ですね。
「ニコラス・スナイダーズの魂、あるいはザンダムの守銭奴」
悪人と善人の魂が入れ替わるお話。魂が入れ替わっても人格は入れ替わらないのは日本ではあまりないパターンですね。とはいえ日本でも魂魄という二種類の区別はあるので比較すると面白いのかも。
さて、これで昨年の7月に国書刊行会が刊行した4冊の怪奇幻想小説をすべて読破しました。どの作品も年間ベスト級の作品たちで、実際にまとめ記事にも取り上げております。感想記事をあげておりますのでよろしければご覧ください。