言葉が出ない・わからない
私の父の場合、認知症の症状は、会話困難・失語から始まったと思われる。
1) 二つ以上の要素が入った会話を理解できない
2) 言葉を思い出せない、違った言葉で会話を進めるので何を言っているのかさっぱりわからない
銀行に行ってATMの使い方や暗証番号がわからず、カウンターで話しても何を言っているのか相手が理解できず、銀行から私に電話がかかってくる。医者やお店に行っても同様、というようなことが何度かあり、あぁ認知症が始まったんだと覚悟を決めた経緯がある。
本人も自覚をしているから、言葉数が減ってどんどん無口になり、外だけでなく家族とも話すこともほとんどなくなってきた。昔はジョークをいったり、親戚や人の集まる中代表で発言したことがあったなんて嘘のようだ。
2)については日常茶飯事で、先日もこんなことがあった。
言葉を思い出せないことで焦ってしまい、脳の中がパニックを起こしてしまう。
そして相手のいっていることにまで頭が回らないので会話にならない、という流れのように感じる。言葉とモノ・そのビジュアルが一致しない。
私にも喉まで出かかっているのにあの言葉が出ない!という症状や、疲れている時に難しい漢字を眺めていると記号のようでなんだかよくわからないと感じることがあるが、全く遠くはないのかもしれない。
先日も
「〇〇(私)、シールのことなんだけど」と父
「シール?なんのシール?」と私。
「シールがなくなっちゃって、ここに置いておいたのに」
「シールを外に?新聞紙のこと?」
「シール、シール・・」と結局何のことだかわからず会話は終わりそのままだ。バッグのことを言っているようにも感じるが、シールが先に浮かんで100%その言葉でいっぱいになってしまったようだ。
失語は精神的焦りも生み出すので、さらに会話がちんぷんかんぷんになって、周囲とのコミニュケーションを困難にし、恥ずかしくて孤立してしまうのだろう。
そこであまり焦らせないのが良いだろうとわかっていながら、急いでいたり、呆れてしまうとなかなか優しくなれないものである。
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