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夫婦で子育ての価値観が合わない問題

夫婦で子育てしていると,子育ての方針が食い違ったり,お互いの価値観の違いにイラっとすることが結構あります。
更には夫婦間のみならず,自分の親や義両親の子どもへの関わり方が,自分たちの子育てのやり方と大きく異なるので都度モヤモヤしたり悩んでます。実家に帰省するのも憂鬱です,なんて声も。

あるママ友は,家では子どもにジュースや甘いものはほとんど与えてないようにしてきたのに,義両親がお構いなしに我が子にあげてしまい,すっかり子どもが味を占めて,その後子どもにせがまれるようになってしまって困った,と憤慨していました。

私自身も,実母が息子の外見を本人の前でやたら褒めまくる(○○くんはイケメンだから将来が楽しみだわね,とか女の子にモテちゃうわね,みたいな感じ)のがすごく癇に障って
「お母さんのそういう声かけは,ルッキズムを助長するからやめて欲しい」と正面切って伝えたこともある。過去,母のこう言う何気ない容姿について評価するような言葉が,思春期の自分には容姿へのコンプレックスを刺激されるものになっていてすごく嫌だったから。

ただね,ある時気づきました。
こういう周囲からの声がけにイライラする根本は,
「自分の子どもは自分の思い通りに育てたい」
という私のコントロール欲なんだ,ということに。

なんとなく嫌なんですよね。
他の人が我が子によくない影響を与えるんじゃないか,とか
あの時あの人が余計なことを言ったせいで…と後々後悔したらどうしよう,なんてことを想像したりすればするほど余計に腹が立って,自分と似た価値観を持った人しか我が子には近づかないでほしい,と思ってしまったり。

それに気づいてからは,子どもには小さいうちからできるだけ色んな人と関わって,多様な価値観に触れさせた方がいいな,と思うようになりました。

お母さんは「いいよ」って言ったのに
お父さんは「絶対ダメだ」って言ってる。
おばあちゃんはお母さんが言わないようなことを言う。

そんな体験を子どものうちから積み重ねていくことってすごく大切なんですよね。
大人になれば,自分の損得で判断したり,自分にとって都合の悪い意見はあえて「聞かない」と言う選択肢を取ることもできるけれど,子どもの頃はそう簡単にはいかない。
父と母という自分にとってはどちらも無視できない大切な2人が,正反対のことを言っている。さぁどうしよう…とここで初めて考える。

親以外の大人なんてもっと面倒臭い。
時には無茶苦茶に理不尽なことを言ってきたりして,ますます何が正しいのか分からない。

実はそんな環境こそ子どもにとっては大事じゃないかと思うのです。

子どもの頃にどれだけ親が我が子をコントロールして育てていても,それはずっとは続けられません。
むしろ早い段階で,親だけの一方的な考えや価値観で子育てするなんて無理だ,と良い意味で諦めてしまう方が後々楽になるように思います。
お母さんは甘いおやつはダメって言うけど,おばあちゃんの家に行った時は美味しいチョコレートがもらえる!でもいいじゃないですか。
むしろそれが大きくなった時に子どもにとっては「懐かしい思い出」になる。

長年教員として中学生と関わってきましたが,大体どの子も思春期になると親の意見や価値観とは「違う」ことに惹きつけられるようになってきます。

そんな時,それまでの生育歴の中で周囲の大人の価値観が均質化された環境で育ってきた子は,自分とは異なる価値観に触れたときの耐性が低くて余計なストレスを溜めやすかったり,「親の価値観とは違う」というただそれだけの理由で惹かれた,どうしようもない悪い大人に騙されてしまったりすることもあります。

子どもの頃から「人ってそれぞれに違うんだなー」と感じられる体験を積み重ねることは子どもにとってはすごく大切。

生きていればその時々,良きにつけ悪しきにつけ色んな人から影響を受けます。
親の価値観からすればそれが「とんでもない悪いもの」ってことだってあるかもしれない。
でもね,考えてみれば親である自分だってそうやって育ってきましたよね。
今までに出会ってきた人たちから意識的・無意識的を問わず何かしらの影響を受けて今の自分が存在しています。
時に
親以外の他人の考え方や言葉に触れて救われた経験だってあるでしょう。
親の思い通り,親の価値観を正しいと信じて疑えない人生なんて,子どもにとったらただの地獄かもしれない。

話は戻りますが,子育ての価値観が夫婦で違うなんて,我が子にとってはもうそれだけでラッキーなんですよ。
生まれ育った環境の中に子どもが最初から学べるチャンスがあるんだから。

子どもの教育方針に一貫性なんてなくたっていいんです。
大人の一貫性が子どもの柔軟性を潰します。
学校に入ったらそれこそ大変。
A先生とB先生,友達のCちゃんDちゃん,みんな言ってること全く違うじゃん!!
みたいなことだらけ。
でもそれが当たり前。

混沌として,理不尽で,わけわかんねーな!って子どもが思えば思うほど
考える力やレジリエンスが育っていく!!

時に子どもが混乱の中で
「おかーさん,どうして人によって言ってることが違うの?」
と聞いてくるようなことがあれば
「人間だからねー。みんな違うのが当たりまえよ。で,色んな人の話を聞いてみて,あなたはどうしたいの?」
と聞いてあげてください。

子どもだろうが大人だろうが自分の生き方の答えを持ってるのは自分しかいないということさえ分かっていれば,自分の意思もない状態で漫然と誰かの言いなりになったまま生きてしまうことはないから。

その子に関わる大人が多様な価値観を持っていたとしても,
最後は子ども自身がどうしたいのかを最大限尊重する。
この部分だけは,個人の価値観どうこうではなく,人類普遍の原理として全ての大人に心得て欲しいところなんですけどね。



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Mariko
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