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ぬぼっとしている -先輩女子からのドキドキの呼び出し- #023

「あ、そこのあなた、ちょっと来てくれる?」

中学1年生の時、知らない女性の先輩2人から、突然廊下に呼び出された。先輩達はとても大人に見えた。もしかしたら告白されたりするのだろうか、と私はドキドキしながら、教室を出た。

私  「…えっと」
先輩A「ほら、ぬぼっとしてるでしょ?」
先輩B「ほんとだー。ぬぼっとしてる」
先輩A「…じゃあ、ありがとう」
私  「え?」

先輩2人は行ってしまった。ぬぼっとしている、と言われただけの時間であった。

歩いている時、たまに、妻から言われる。

「つなまよ、魚になってるよ」

何か考え事をしている時、私は口を開けてぼーっとしている。その横顔が魚にそっくりらしい。言われてみればそうかもしれない。

小学校6年生の時、喉仏が2つできた。心配した母が私を病院へ連れて行った。担当の医師は、「良性だと思いますが、一応摘出しましょう」と言った。これは何なのですか?と聞いた母に、医師は答えた。

「魚のエラです」

人は受精卵の段階から成長していくときに、魚類から哺乳類までの進化の過程を辿る。その過程で無くなってしまうはずのエラは、私の喉元に残っていた。私はエラ呼吸ができたかもしれなかった。だから、考え事をしていると、魚になってしまうのかもしれない。

ぬぼっとしている人、と言われて私が思い出すのは、クレヨンしんちゃんの「ボーちゃん」や、少年アシベの「スガオくん」だ。ぼんやりしているキャラは、なんだかいい。

私はよく道を聞かれるが、それはなんかぼーっとしていて、ヒマそうないい人に見えるからかもしれない。対人援助職をしていると、見た目が怖くない、というのはメリットとも言えなくもない。

しかし、それで恋愛的にモテるかと言うと、それは別の問題であって、先輩から告白されなかったのは悲しいのである。

(追記)
森永製菓に「ぬ~ぼ~」という、チョコレートをもなか生地で挟んだ、美味しいお菓子があった。「noobowというラテン文字表記が存在する」という意味不明な情報がwikipediaに書いてあったのを見つけて、私は幸せを感じた。

2023年10月24日執筆、2023年11月8日投稿


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