「特定技能人材」と「技能実習生」を【制度】【職種】【費用】【人材】の視点で比べてみた。
みなさんこんにちは!
今日はタイトルにもある「特定技能人材」と「技能実習生」を様々な視点から比較してみたいと思います。
〇技能実習生の受け入れを考えていえる方
〇特定技能人材の受け入れを考えている方
〇外国人人材の受け入れを考えている方
外国人の採用に踏み切るにあたって、わからないことだらけではないでしょうか?ぜひこの機会に、上記2つの人材の違いを明らかにして自社にとって適格な採用手段が何かを考えていきましょう!
①制度のちがい
■特定技能人材・・・日本国内の激しい労働力不足を補うことを目的につくられた新たな在留資格。2019年4月施行
■技能実習制度・・・日本の技術や知識をもって他国の経済発展を支援する「国際協力」を目的に設立。2017年11月施行
まずは制度の違いについて。特定技能とは生産年齢人口の減少による人手不足の対策として新設され制度です。国内で特に人材確保が難しい14分野に限り外国人の就労を認め、労働力の一助とするための在留資格制度です。特定技能1号では「相当程度の知識または経験を必要とする技能」と認められる業務に従事する外国人向けに、通算で上限5年の在留期間が与えられます。特定技能2号では、14分野のうち、建設、造船・舶用工業の2業種に属し、「熟練した技能」を要する業務に従事する外国人を対象にしたもので、在留期間の上限はありません。また、要件を満たせば家族(配偶者、子)を帯同することができます。
特定技能では3年間の技能実習(技能実習2号)を修了するか、日本語能力判定テストと業種ごとに定める技能試験に合格すると、最長5年間(特定技能2号は無期限)の在留が認められます。なお、2020年夏には特定技能の対象業種にコンビニエンスストアを追加する動きがありましたが、最終的に見送られています。
一方で「技能実習制度」は技能実習は日本の技術や知識をもって他国の経済発展を支援するという国際協力の推進が目的となっています。そのため、技能実習は労働力の需給の調整の手段として行われてはならない決まりが設けられており、在留期間、試験の有無、人数枠の有無など、特定技能と技能実習は制度の詳細もまったく異なります。
②職種のちがい
「そもそもうちは採用できるのか?」
特定技能制度・技能実習制度それぞれで受け入れられる職種に制限があります。まずはしっかりと確認をしておきましょう。
<特定技能人材>
介護、ビルクリーニング、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、建設、自動車整備、産業機械製造業、素形材産業、電気・電子情報関連産業、造船・舶用工業、航空、外食業
※詳細な職種についてはこちら
<技能実習制度>
介護、ビルクリーニング、宿泊、農業、漁業、食品製造、建設、自動車整備、機械/金属、繊維/衣服関係家具製作・印刷・製本・プラスチック成形・塗装・溶接・工業包装・紙器/段ボール箱製造・陶磁器工業製品製造・・リネンサプライ・コンクリート製品製造・
※詳細な職種についてはこちら
太文字にしている職種はどちらも受け入れ可能な職種です※太文字以外の職種も部分部分によってはどちらでも受け入れ可能な職種もあります。詳細はリンク先からご確認ください。
③費用のちがい
雇用する際のコストの違い
<特定技能人材>
給与:日本人と同等以上の給与を払う必要有
その他費用:月額支援費(金額は登録支援機関による)
<技能実習生>
給与:最低賃金以上を支払う必要有
その他費用:海外の送り出し機関や日本の協同組合に対して管理費を払う費用有り(送り出し機関・組合による)
▼参考資料
▼注意すべきポイント
①給与規定について
→技能実習生として雇用していた人材を引き続き特定技能ビザで雇用する場合には「給与」に注意してください。極端な話をすると、これまで最低賃金でも雇用できていた実習生と違い、特定技能では日本人と同等以上の給与を支払う必要があります。企業によっては月給ベースで3万~5万程度昇給させる必要が出てきます。
また、これから実習生を受け入れようとする企業の方に注意すべきこととしては、「技能実習生は最低賃金以上」という条件がありますが、これは決して最低賃金を支払えば送り出し機関から人材を紹介してもらえるというわけではありません。当然ながら実習生の候補者も給与・待遇などの条件が良い企業に集まりますので、日本人同様優秀な人材を獲得しようと思えばそれに見合う給与を支払う必要がでてきます。
⑤紹介手数料・支援費について
既に自社でアルバイト等で雇用している留学生を特定技能ビザで雇用する場合には当然ながら紹介手数料等は発生しません。また過去2年以内に中長期在留者(技能実習生・ギジンコク等)の雇用経験がある場合は登録支援機関に費用を払わずに自社で当人材の生活支援することを条件に雇用が可能です。
⑥在留資格許可申請(ビザ申請)について
大きく3のパターンがあります。
1.行政書士に依頼する
2.登録支援機関に依頼する(支援を全部委託する場合のみ)
3.自社独自でおこなう
当然ながら専門性の高い行政書士にお願いする場合は一定の費用がかかりますが、信頼感は高いといえます。また登録支援機関も取次申請の許可を得ている支援機関であれば、入国管理局への申請・提出等も含めて取り次いでもらえますので、時間的コストも下げることができます。自社独自で行う場合は、最初は慣れない為時間を取られることも多く非常に苦戦することが予想されますが、不可能ではないといった感じです。自社にビザ申請におけるノウハウを貯めていきたい企業様は是非チャレンジしてみてもいいかと思います。コストの面では1>2>3といった感じでしょうか。当然ながら自社で行う場合は書類の発行手数料等のみのコストとなるので数千円で済むレベルです。
⑨転職の有無について
技能実習生と違って特定技能の場合は転職が可能となりますので、人材の満足度の如何では当然他に流出してしまうリスクはあります。給与面はもちろんですが生活面・言語面などしっかりと支援体制を整える必要があるといえるでしょう。
④人材のちがい
食品製造業や宿泊業など職種によって技能実習生や特定技能のどちらの制度でも雇用可能な場合もあります。
「特定技能と実習生、どっちで雇用したほうがメリット?」と考える方も少なくないはず。それでは要の人材について比べてみてみましょう。
あくまで弊社の主観であるため、参考程度にとどめておいてください。
<特定技能人材>
日本に在住している日本語学校・専門学校、大学等に通っている留学生、または日本で実習生2号、3号を修了した人材が主。語学力は実習生より比較的上。
日本語レベル:N4~N2
<技能実習生>
現地の人材を直接雇用するため、特定技能人材と比較すると日本語はかなり劣る。
日本語レベル:N4~N3
今日のまとめ
今回は特定技能人材・技能実習生それぞれの成り立ちから様々な点における比較をしました。
1つ言えることは、外国人人材の雇用は決して人件費が安いわけでもなければ、そもそもその観点で雇用してはならないということです。当然ながら日本人ほど日本語を話せる方はほぼいないので、教育コストは日本人以上に係るといっていいでしょう。但しそれ以上に得るものは多いと感じた企業のかたはぜひ採用に踏み切ってもらいたいと思います。
今後の日本の未来を語るうえで外国人人材は欠かすことができないキーパーソンであることは間違いありません。
コロナウィルスの感染拡大がつづく昨今ですが、この期間のうちにできることから進めていきましょう。
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