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初めてベトナム人を採用する前に知っておいてほしいこと。

日本で働くベトナム人の方、近年とても増えてきましたね。
ITエンジニア、建設、農業、外食産業、工場などいたるところでベトナムの方が働かれている光景を目にします。今の日本にとってベトナムの方の労働力はかかすことができません。今回はそんなベトナム人就労希望者を採用する際に気を付けたい4つのポイントをお伝えします。

1.在留資格の許可申請ができるか確認する
2.雇用する際の費用について確認する
3.転職の可能性についても考えておく


1.在留資格の許可申請ができるか必ず確認する

何はともあれ在留資格が一番です。特定技能、特定活動(46号)、技術・人文知識・国際業務などここ数年で様々な新しい在留資格が発行されるようになりましたが、そのどれも許可には条件があります。
条件に当てはまらない人材の場合は内定出しをしていても在留資格が交付されない限り入社できないため、「内定取り消し」の対応をとらざるを得ない状況に陥ります。
そうなると求職者の方の人生にも大きく左右してくるためトラブルの原因にもなりかねません。軽はずみに内定を出して、その後事を大きくしないためにも、まずは基本的な条件を押さえて正しい知識を入れておきましょう。
ここでは主な条件についてのみ触れたいと思います。細かい内容は最寄りの出入国在留管理局に問い合わせるか、ホームページ等でご確認ください。

◆特定技能の場合の主な条件
1)申請人が18歳以上であること
2)申請人が日本語能力試験(JLPT)4級以上合格者・またはJFT-basic合格者
3)申請人が特定産業分野の業務区分に対応する試験の合格者
4)ベトナム人の場合は2年間日本の日本語学校に通っていた実績がある者(技能実習生から特定技能に移る場合を除く)
※2・3については技能実習生から特定技能に移る人材は例外となります。

また注意すべき点として…
◇受け入れの際の報酬額(給与)が日本人が従事する場合と同等以上であること
◇過去2年以内に中期在留者の受け入れ経験がない場合は登録支援機関への支援実施を依頼すること
◇在留資格「特定技能」での在留機関は通算で5年が上限であること

などが挙げられます。
特に1つ目に関して、技能実習生は最低賃金以上という決まりがありますが、特定技能はあくまで【日本人と同等以上】が求められます。それゆえにこれまで技能実習生として雇用してきた人材を引き続き特定技能で継続しようと考えたら、大幅なベースアップを計る必要があります。

◆特定活動(46号)・ギジンコクの場合の主な条件
特定活動(46号)の場合は、日本国内の4年制大卒&日本語能力試験(JLPT)1級を保有していることが主な条件です。また、技術・人文知識・国際業務の場合、本人が専門的に学んでいる内容が活かせる職種に付くことが条件として求められます。

このあたりは非常に細かく在留資格に値するかどうかといったラインが行政書士や登録支援機関であっても判断しにくい部分でもあるので、後日1つ1つの在留資格について取り上げていこうと思います。


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2.雇用する際の費用についても確認しておく

一般的に在留資格別で下記のような費用が掛かってくる場合がありますのでご参考下さい。

A)特定技能の場合


<内定~入社前>
・職業紹介事業者に紹介手数料を支払う場合(紹介会社毎で異なる)
・在留資格許可申請の手続きを行政書士に依頼する場合(12~15万程度)
・健康診断の受診料(6,000円~8,000円程度)
・本国から日本への航空代(国ごとで異なる)※海外から直接雇用する場合

<入社後>
・登録支援機関に支援委託を全部実施する場合(月額2万~4万程度/最大5年間)
・在留期間更新許可申請の手続きを行政書士に依頼する場合(5万~10万程度)

※建設業の場合は、キャリアアップシステム利用料や別途業界団体への加盟費などが別途必要です。

※ベトナムの送り出し機関から人材の派遣・紹介手数料として、特定技能人材本人に対して最大給与1か月分、受け入れ企業に対して最大給与2か月分の支払いが必要な場合があります。既に実習生として日本に在住している人を雇用する場合は送り出し機関に確認を取っておくとよいでしょう。

B)特定活動(46号)、技術・人文知識・国際業務の場合

・職業紹介事業者に紹介手数料を支払う場合(紹介会社毎で異なる)
・在留資格許可申請の手続きを行政書士に依頼する場合(12~15万程度)
・本国から日本への航空代(国ごとで異なる)※海外から直接雇用する場合
・在留期間更新許可申請の手続きを行政書士に依頼する場合(5万~10万程度)

上記のような費用が発生すると予想されます。もちろんこちらも主な費用になるため、詳細はお問い合わせください。

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3.転職の可能性についても考えておく

これまで技能実習生としてベトナム人材を雇用していた場合は、転職が基本的に「不可能」であるため、さほど気にすることもなかったという受け入れ企業の方もいらっしゃるかと思いますが、これから特定技能や技術・人文知識・国際業務の在留資格で雇用する場合は労働者が転職することも可能になるためなお一層注意が必要です。

ベトナムは日本と比較して実力主義な面があります。よって給与額と実際の仕事内容が見合っていないと考えた場合には、より成果をあげて多くの報酬を受け取る会社に転職を考えることが少なくありません。
日本独自の年功序列の給与システムの企業はベトナムでは通用しないため、しっかりと成果に見合った報酬を与えるように意識しましょう。

例えば『日本語能力試験(JLPT)で2級を取得できたらベースで5,000円UPする』など、給与水準に階段をつけて具体的に提示すればより本人もモチベーションをもって目標に取り組みやすくなります。うまく彼らのモチベーションを維持して育成につなげていけば長期雇用も可能ですので、一時的な人材確保と考えず今後の成長や活躍を見込んだうえで雇用を見直すことが大切です。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?ベトナムの方は皆さんご存知の通り、まじめな気質で日本人と比べても変わらないくらい仕事に熱心な人の割合が多いです。

しかしそれだけに、何か不条理なことや理不尽な扱いを受けると企業に対して不信感を募らせ、最悪の場合失踪等につながる可能性もあります。

雇用する上で大切なことは大きく2つ、事前の説明を徹底しておくことと、日々のコミュニケーションを欠かさないことです。

特に1つ目に関して、日本で初めて働く人材に対して『いち早く働いてもらいたいから』という一方的な理由で、ろくに日本における仕事の取組み方、生活のルールなどを説明せずにいると、後で問題が起きて本人たちが「聞いていない」という話になってしまい責任の押し付け合い等で大きな問題になることが多くあります。そうならないためにも、責任ある立場として受け入れに当たっては丁寧に進めていくことが大切です。

みなさんが海外人材とうまく付き合い、お互いにメリットになるように共生していきましょう。

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