【観劇記録】宝塚雪組・蒼穹の昴①

素晴らしかった!

雪組『蒼穹の昴』は、宝塚では久々の中国物・新作1本物。
そしてトップ娘役・朝月希和ちゃんの退団公演となります。
私はこちらをムラで2回・東京で3回・配信で2回(新人公演含む・東京千秋楽配信も観る予定!)で観劇させて頂きました。
東京ではSS席にも座らせて頂いて、大変ありがたかったです…!

観劇前に、予習としてドラマを履修、原作も公演期間中に全4巻読了致しました。
もう、原作がそもそも面白いんですよね!!
元々歴史の勉強は好きだった方なので、全く知る事がなかった清朝末期の歴史に触れ、魅力的な登場人物達のドラマティックな物語に惹かれるのもあっという間でした。
と同時に、疑問も浮かぶわけです。
「この壮大な物語を2時間半にどうまとめるのか?」

そのような面持ちで臨んだ観劇、感想を色々書いていきたいと思います〜!

『第三の』蒼穹の昴

原作からカットされているエピソードはうんとあったものの、『蒼穹の昴』において読者の胸を打っている「登場人物達の思い」を丁寧に汲み取り、打ち出し、ストーリーが展開されていく様は、本当に見事にまとめてくださったな!!の一言です。

原作が長い話を舞台化した時、説明台詞やナレーションに頼り過ぎてて観ていて退屈したり、登場人物達の思いが掬い取れておらず、初見だと「この人何がしたかったんだ?」と思う登場人物が出てきてしまうのもあると思うんですよ。

それがない!!!!!
脚本・演出の原田先生の原作愛を感じます。

実を言うと、私も1回目の観劇の際は正直物足りなさを感じました。
というのも、あまりにも原作が登場人物の心の機敏をめちゃくちゃ事細かく描いているんですね。
それもあって、やはり短縮化せざるをえなかった部分を目の当たりにした時に「ここ飛ばすの?!」と思ってしまったわけです。

例えば、2幕の展開。
楊喜楨の死→順桂の爆破事件→変法政治→袁世凱の説得までの流れで一貫して西太后は「光緒帝を大切に思っている」という面を強く打ち出していました。
京劇の場面で厳しい部分も少し出していましたけど…。
しかし、原作やドラマを見ていると西太后と光緒帝は互いを思いつつも腹の探り合いをしているような部分もあります。
厳しい面と優しい面の2面性どころではない、西太后という人が相当複雑で様々な顔を持つ、つかみどころのない人物という印象を持っていたからこそ、違和感に感じてしまいました。
(ドラマはこの守旧派VS変法派、西太后と光緒帝の確執を上手〜く描いているのでぜひ見てほしい。西太后役の田中裕子さんのお芝居がメチャクチャに素晴らしいです)

また、春児の後宮での出世もかなりイージーモードに見えますが、原作やドラマを見ると、後宮はかなりの競争社会で嫉妬や権力が渦巻いた世界に見えます。
その世界の中で春児が自分を見失わずにまっすぐ歩いているからこそ、西太后や周りの宦官達の胸を打ったんだな、と春児の人物像が際立つ要素ではあるので、こちらもあっさり感を感じてしまいました。
宝塚での役名は李春児ですが、原作では李春雲(愛称が春児)なのも、違いの大きさを感じますよね。

それがどうして一転「素晴らしい!!」の感想に変わったかというと、パンフレットを読んで「ああ、これは原作へのリスペクトをふんだんに盛り込んだ、”宝塚版”に再構築された『蒼穹の昴』なんだ」と理解したからです。

当たり前と言われたらそれまでなのですが(笑)、宝塚にはスター制度や出演者数などの制約がたくさんあります。
それを制約ではなく活かすという方向性で考えた時、トップスターの彩風咲奈さんにビタビタにハマる梁文秀を主役に据え演出を構成された、それに沿った形で専科の皆様も含めて考えられた配役・脚本なんだと原田先生のメッセージも相まって実感しました。

この"梁文秀ー彩風咲奈"を中心に据えたと理解すると、各登場人物の台詞や各演出のバランスが素晴らしいな!!!となり、2回目からは1幕冒頭から落涙するほどに変化しました(笑)

あとはもう宝塚だからこその強みしかありません!
あの豪華絢爛な舞台装置、衣装は惚れ惚れするほど。
ドラマで視覚的な予習もできていたのですが、いざ実際に自分の目の前にすると、口が開いているのも忘れるほど見惚れてしまいました。
西太后様の衣装、宝塚の殿堂に飾ってもらえないかな〜。近くでまじまじ見たい。

演出もドラマティック!
日清戦争の場面、嫌いな人います?!?!?!
もう大好きです、あれ。(笑)
あと、みんな大好き阿片窟→西太后の行列の場面へ布一枚で切り替わる、一瞬の演出には痺れました。
清朝時代の中国の、表と裏の部分。まさしく表裏一体なんだと…

『第三の』蒼穹の昴、としたのは、原作・ドラマに次ぐ舞台化作品として確固たる素晴らしい作品だという、私なりの褒め言葉です。
ドラマで初めて作品が多角化した時、原作とは別展開がかなりあるので驚いた方もいたのではと思いますが、それはそれで面白い!
(文秀とミセス・チャンのロマンティックな恋の駆け引きがあったりして楽しい〜。キュンキュンしちゃう笑)
今回の舞台化は、宝塚風に味付けされた原作に忠実な作品で、それはそれで面白い!
作品の見方が二重にも三重にも面白くなりました。
あっぱれです!

まあただ、原作予習したら一回目では物足りなさを感じたのも事実なので、複数回観る人はどちらでも良いですが、1回だけ観る人はあえて原作読まずにパンフレットのあらすじと人物相関図を頭に叩き込んどくくらいの予習が良いかもしれません(笑)

…と、ここで既に2000字オーバーしている(笑)
一旦今回はここまでにします。

次回、全員がハマり役すぎ!!!この人のここが好き!!!!!群舞ヤバくない?!?!?!について書きます(がんばる)

ではでは!ここまで読んで下さりありがとうございました〜!

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